東京周辺の住宅地には「未亡人通り」と呼ばれる路地が幾つもあるらしい。
高度成長期に誕生した新興住宅地には、一斉に同年代が転入して、一斉に老い、今は高齢者だらけになっている。
住んで50数年が経てば、か弱い男どもは次々に他界して、丈夫な女ばかりが生き残る。
わが家の周りも見回せば未亡人だらけになった。
カミさんが「あそこはまだ旦那さんが居るから」という言い方をするようになったのは、居ないのが普通になったからである。
食卓に町内地図を広げてカミさんの説明を聞くと、旦那が生き残っている家はポツリポツリとしか無い。
「ここの旦那さんはまだ死んでないのよ・・・」
未亡人・・・未だ亡くならざる人
それは男のことだったのかと気付かされた。