散歩するなべさん

しょうがなくも所在なく散歩するなべさん。近頃野鳥に目覚めて鳥見お散歩の日々。病気もしたけど時には山歩きに物思い旅ね。

「神去なあなあ日常」を読む

2012-11-22 00:16:46 | 

 

もう20年以上も前のことですが、
高校1年生の担任だったときです。

古い木造校舎が教室として使われていました。
教室の窓側の庭は隣のビルにはさまれて鬱蒼として
誰も入り込まないところです。
その庭に生徒の誰かが、鳩の屍骸を窓から見つけて
ちょっとした騒ぎになりました。

5,6人の生徒らが窓に寄って
ああだこうだと騒いでいると
一人の男子生徒がすっと教室を出て
回り込んで、庭へ入り込み、
何をするかと思うと、
鳩のそばで土を掘りだしました。
そうしてその死んだ鳩を埋めてあげたのです。

それが、何のてらいもない
実に自然な行為のように見えました。
いつも寡黙な子でありましたが、
その自然に身についたかのような素直な所作に
感じ入り、いまだに印象に残っています。


高校卒業後の数年たって、その君は、
「大学には行かず、インドを放浪しているらしい、」
という噂を誰からか耳にしました。

「へぇ~、彼らしいということかね。」

と、思いました。

またしばらくしてのち、
「インドから戻って、吉野で林業やってるみたいよ。」
と、噂を聞きました。

「おうおう、なるほどね。いかにも彼らしいね。」

と、またまた思いもし、感心もしたのであります。

 

とまあ、そんな彼のことを思い出しながら
読んだ本が、これね。↓

 


何だか漫画を読むような軽妙なのり。
(良質な漫画ですけど。)
林業に飛び込んだ若者の青春小説ですかね。
それでいて、十分繊細な深みも備えています。
あの中上健次描くところの
熊野の世界の荒々しい神秘性も
柔らかく包み込んで軽妙なタッチで
あしらっているような気さえいたします。
マイナーなお仕事の世界を、こんなに魅力的に
すすーっと堂々たる表舞台に押し出してみせる
三浦しをんの力量はなかなかであります。
うれしくなりますね。


そこで、話題になった「舟を編む」。
文庫になるまで待とうと思っていたのですが、
待てないで単行本を買ってしまいました。

さらに面白うございましたね。


両方とも、
良質な進路ガイダンスの本として
高校生あたりにに読ませたいですよね。

 


(ところで、その後の彼、
どうしてるんでしょうかね。)

 

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つげ義春、生きてますね

2012-06-16 16:52:38 | 


雨ですね。梅雨ですね。
でもようやくの休日で
ゆっくり寝させて頂きました。
(風邪の後遺症がまだちょっとね。)


先日、本屋に立ち寄って見つけたのが
つげ義春の文庫本新刊。

これね。  ↓

 

中身は、大体見覚えのある写真と紀行文。
でも読んでない文章もあるみたいだけど。

何より、作者の「文庫版あとがき」
があって、「二〇一二年初夏」
と、日付がありました。

「お~、つげさん、まだ生きてる~。」

と、うれしくなるやら、
ホッとするやらでありました。


あらためて、その紀行文や
写真を眺めていると、
ホッとした気分で、しみじみと
温泉地旅行へ
誘い出される思いであります。

 

しみじみしていると、
その翌日の新聞に
「まんだら屋良太」作者の死亡記事が。 ↓

 


九州山間地の温泉街を舞台にした
面白いマンガでありました。

今春旅した杖立温泉など、
多分この温泉街の
モデルのひとつだと思うけど、
何だかね、侘びしいね。

人生有為転変、無常索漠、盛者必衰、塞翁が馬、
(なんのこっちゃ~!?)

まあ、人も景色も風情も
段々と遠くなっていきますな~
ということでありましょうか。


とりあえず、つげ義春さん、
もう少し、長生きしてくださいね。

 

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吉本さん、亡くなったのね

2012-03-17 01:38:55 | 


「吉本隆明、死去。」
のニュースが流れましたね。

埴谷雄高が逝き、江藤淳が逝き、
鮎川信夫、小川国夫が逝き、
そして清水昶も昨年
ひっそりと逝ってしまいました。
次々といなくなってしまいます。


新刊本が出れば
ほぼ必ず買う著作家は
吉本隆明、古井由吉、柄谷行人、
中井久夫あたりでしょうか。

生前、最後の新刊本でしょう。↓ たぶん。

 


吉本隆明の本は
20代の頃からの長いつきあいです。

「固有時との対話」から
「転位のための十編」への展開が
なべさんにとって
最も印象深いものです。
深く深く潜れるだけ潜り、
反転してまっすぐに
水面に浮かび上がったとき
歴史と火花を散らした!
そんなイメージを持っています。


何年か前に、吉本が
溺れて死にかけたという
伊豆の土肥の海を、
その後度々訪れることがあります。
その度に
「あ~ここが吉本が死にかけた海や。」
と、なぜだかしみじみと眺めておりました。


なべさんの友人O氏は
なべさん以上に吉本ファンでありました。
何時間でも吉本の話が
尽きない友人でありましたね。
「吉本の自宅付近まで行って
路地を歩く吉本を見かけたんやけど、、、。」
と、学生時代の話も聞かされました。
その友人も2年前に亡くなって、今や

「吉本亡くなったよね。」

と、お酒を酌み交わす相手もおりませんな。


87歳だったとか。
充分生きて最後まで働いたのだと思います。

(寂しいけど。)


 

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「かもめ食堂」シンプルね

2012-02-14 01:48:21 | 


ちょっと風邪気味ですな。
ここしばらく、
休日日も引き籠もり状態で
本日、久々の仕事日も
何だか地中から
這いずり出たもぐらさんのようで、
冷たい空気が、かえって
気持ちよかったぐらいであります。
寒いけど。
(鼻水、グシュンであります。)


引き籠もりの時は
こたつで寝たり、起きたり、
ぐだぐだするのは相変わらずです。
とりためた録画ものでも
観ようとしても、
特に引き込まれるわけでもなく
やっぱりうつろ眼で、
ぐだぐだ、ぼんやりね。

でも、時に思わず
引き込まれるときもありますよ。


「かもめ食堂」

これはちょっと前に録画した
BSの映画でありますが、
予備知識もなく観てみると、
なかなか良い作品でありました。
フィンランドで、主人公サチエが開いた
かもめ食堂を舞台とした話。
しんみり、さわやか、シンプルね。
何より画面の明るさが良い。
小林聡美ら役者さんも良いね。

ちょっと感心して、
原作、群ようこの
「かもめ食堂」(文庫本ね)も
早速買って読んでみました。  ↓

 

シナリオ読むみたいな感じ。
主人公の来歴がわかったりして
むしろ映画の解説本の役割を
果たしてくれています。

ネットで調べてみると、
どうやら巷ではなかなか
ヒットした映画のようでありました。
(なべさん、最近映画観てないから。)

 

ちょっとね、世相が世相だけに
久々に小ぎれいな映画を観た感じね。

(鼻水グシュンだけど。)

 


 

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周平さんは良いよね

2012-01-23 02:43:34 | 


雨が続きましたね。
今日は雨も上がって
やや暖かい方でありましたが。


こたつでウトウトするばかりで、
「何もUPする事ないなあ~。」
というときは
読書ネタになるところですが、
何だか読書傾向も
散漫な感じになっており

「最近はこれね!」

というのが、もう一つね。
(集中力もとぎれているのよ。)


こむつかしい本を
読み続けていたり、読書疲れだったり、
ちょっと息を抜きたいねと思うと
やっぱり藤沢周平さんね。
でも周平さんを読み出すと
止まらなくなっちゃうのよね。

そんなこんなで、
「よろずや平四郎活人剣」を
ちょうど読み終えたところ。   ↓

 

主人公に少し軽みがあって、
少々渋さに欠けるな
と思っていると、
そこはそれ、やはり
周平さんであります。

最後まで読み切ると、
「しみじみやなあ~」
と、余韻に浸って
しまうのでありました。

「本は何に限らず最後まで読み切る事ね。」

とも、つくづく思うのであります。

(ただ、読んでない周平作品が
段々残り少なくなってくるのが
寂しいのですが。)

 

さて、本日は、
読後の余韻に浸りつつも
久しぶりに、水越峠を越えての
「かもきみの湯」へお出かけでした。  ↓

 

大寒の頃の日曜日の夕方。
さすがであります。
大混雑でした。

(皆さん温泉好きなのよ。)

 

 

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本屋さん、閉店ですって!

2011-12-13 01:24:52 | 


本屋さんに立ち寄って、
それほど品替わりするわけでもないのに
ぶらぶらと本棚を見て回るのは
結構、楽しみなことであります。
気になる本を探して、
結局その本は見つからず、
思いがけない本に惹かれて
ついつい計算外に
買ってしまうということが
しばしばありますね。


今日、天王寺のいつもの本屋さんに
立ち寄ってみると、
シャッターが降りていました。
貼り紙があり、

「12月6日をもって閉店」

と、ありました。

「あららっ、これは、これは、」

と、困ってしまいましたね。
結構お客もいるよねと思っていたので
ちょっと意外でもありました。


フロアーの狭い、
中小規模の本屋さんです。
でも、コーナーの本棚には
本屋さんの長年の癖というものがあって、
その陰影というか色合いがあります。
だからしばしば通っていると、
いつもの本の並びの中で、
いつもと違う本が挟み込んであれば、
ちゃんとその色合いで
誘いをかけてくれます。
本の方から
声をかけてくれるのであります。


この包装紙のブックカバーも
もうおしまいなのね。     ↓

 

最近の本屋さんは
フロアーの広い大規模店さえ、
のっぺらぼうな感じですね。
ただ取次店の言うがままの品揃えの様で、
どの本屋さんへ行っても同じようなもの。
少しも面白味がありません。

そう言えば、少しばかり前、
本棚の品揃えに癖のある
本屋さんを見つけていて、

「ここの店員さん、なんか面白いね。」

と、内心にやにやしておりましたら、
ここもつぶれて、
何の変哲もないのっぺらぼうの
別の本屋さんになっておりました。


結局売れ筋の本を積み上げた、
チェーンストアの本屋さんと
超大規模の本屋さんとだけが
生き残っていくのでしょうか。

ここでも「効率」優先の
「のっぺらぼう」なんですね。
街の風景の中から陰影というものが
どんどん消え去っていきます。


それにしても、
仕事帰りの立ち寄り先を
一つ失ったなべさんは
かわいそうじゃないですか。(ねえ。)

 

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夏の読書

2011-09-18 01:37:16 | 


夏の読書と言えば、

「少し大部な本に挑戦しようかな~。」

と、思ったりするものですが、
今夏は、ついつい気になって、
「原発もの」に手が出てしまいます。
後、政治のていたらくに
「日本中枢の崩壊」とかね。


 

原発のカタストロフィ後は
何かが大きく変わっていいはずなのに、
マスコミはイノセントの振りをして、
相変わらずであるし、
ニュースキャスターも
相変わらずのリングサイド調アナウンスを
止めたりはしません。

原発仕掛け人の大本、元総理は
事故直後はさすがに衝撃を
受けていた様子がありましたが、
先日のインタビューでは、
原発推進のハタは、
さらさら降ろしていないようです。
(当然ですかね。)

 

「チェルノブイリ報告」広河隆一(岩波新書)

 古い本ですが、ぱらぱらっとめくるとほとんど忘れているので、
 今までの不勉強を恥じて、この辺から再読ね。新刊「福島 原発
 と人びと」も早速拝読。

「日本の大転換」中沢新一(集英社新書)

 中沢さん、なかなか気合いが入っています。小冊子ながら出色の
 出来ですね。今までの幅広い思想展開がここにきて一つに結合し、
 火花を散らしているような印象です。柄谷行人の「世界史の構造」
 等と語り口もその対象の扱い方も違うけど、並走してきて、
 「今、交叉してるんじゃないの」という感じもあります。
 中沢さん、「緑の党のようなもの」の設立準備に入っているとか。                       本気だったら参加してもいいけど。

「原子力神話からの解放」高木仁三郎(講談社α文庫)

 11年前の著者が亡くなる直前の本だけど、色々読んでみて、
 これが一番平易で、かつ包括的で、基本文献のような気がしま
 した。

「福島の原発事故をめぐって」山本義隆(みすず書房)

 懐かしの全共闘議長!「磁力と重力の発見」は大部過ぎてなかなか
 手が出せませんが、これなら、と拝読。静かで決然たる語り口。

「戦艦大和の最後」吉田満(講談社文芸文庫)

 ん?何で…? まあ、カタストロフィの中での人間の振るまい、
 と言ったところでしょうか。中井久夫が阪神大震災のカタストロ
 フィの中で活動するとき、「戦艦大和の最後」と大岡昇平の「レイテ
 戦記」が念頭にあったとか、云っていたので、気になっておりまし
 た。蔵書の中にあったのを引っ張り出して、夏の山行きに携行しま
 した。福島の温泉宿や市内散策途中の珈琲屋さんで読むのに気分
 は何だかぴったりでありました。次は「レイテ戦記」挑戦しましょう。

 

さて、あの戦争で、
戦後、人間がどれだけ変わったのか
もう一度反芻しながら、
原発後の人間がどれほど
本気で変われるのか
見続けていかなければなりませんね。

(もう少し原発もの読書続きそうですね。)

 

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最近、読んだ本ね

2011-07-03 16:55:27 | 


陽射しが和らいで少し
風も出てきて増しになりました。
でも一通り散歩して戻ってくると
何だかじっとり
汗ばんだだるさが残ります。


さて、近頃読んでいる本は
やはり、原発もの。      ↓

 

「原発社会からの離脱」宮台真司×飯田哲也

すらすらっと読めて、
なおかつ中身が濃い。
飯田氏の霞ヶ関との渉り合い、
福島県、上関祝島との連携などの
実践的裏付けがあるゆえでしょう。
飯田哲也氏は
3.11以後の活躍と発言を聞いていると
(原発危機の緊急分析や
原発抜きのエネルギーの可能性分析などね)
何だか今のところ
一番信用できそうな感じ。
自然エネルギー導入と脱原発に
確かな戦略を持っていそうで
信頼感があります。


「福島原発の真実」佐藤栄佐久

今度の事故が起こる以前から、

「福島県前知事は
こんなに頑張っていたのね」

と、改めて知らされる本です。
地震、津波は天災だとしても
原発事故は全く人災なんだ
ということがよくわかります。

それにしても、福島原発事故は
足尾銅山、水俣病に続く
第3の国家犯罪なんやと思ったりします。
いや、政治家や官僚のおぞましさなど
15年戦争と比較する方がよいかもしれませんね。
今回も、喉元も過ぎないうちから、
しれっと原発推進を口にする人々には
全くあきれてしまいます。


「社会は絶えず夢を見ている」大澤真幸

直接、今度の原発事故には関係しないけど、
それでも妙に今回の大震災に符合する論考。
(講義の形だけど。)

大澤さん、最近よく
頑張ってるように思います。

 

ところで、本日散歩途中のランチは
おなじみの一口ヘレカツ。  ↓

 

今日は、完食できなかったけど。

 

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中井久夫の本

2011-06-21 00:35:49 | 


部屋の中は本が満杯状態で
整理が尽きません。

あっちの本をこっちへ、
こっちの本をあっちへ
と整理している間に
(むむっ!? 動かしているだけね。)
どこ行ったかわからなかった
本が見つかりました。
中井久夫編の

「1995年1月・神戸」です。

読まないまま、どっかへ紛れて
時折気にはしていたのです。
出てきたから読もうと思ったら、
中井久夫記述の分が抜き出されて
ちょうど出版されました。
で、こっちの新版の方で結局
読むことになったのであります。
(タイミングが良いのか悪いのか。)

 

 

中井久夫の名著は「精神科治療の覚書」
だと思っていますが、

この「災害がほんとうに襲ったとき」

もまた「名著ですよ」

という一票を投じたいと思います。
(16年も放っておいたけど。)

 

混沌とした現場の中で、
最大限の対応をしながら、
繊細に拾うべき事柄を
マニュアル本のように記述していく
精神は見事であります。
「無名の人がえらいからもっている」
有様もつぶさに伝えてくれます。
被災という「大変事」の中に
中井の云う「こころのうぶ毛」を拾いつつ
そっと差し込んでいくところが
何とも云えません。

「精神の良質なマニュアル本」
と言いたいところであります。


被災状況をよそにしたこのところの
どうしようもない政局。
こんな政治状況しか持てない私たちを
全く憂鬱にしてしてしまいますが、
だからこそ、読んでおきたい本ね。

 

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空堀商店街を歩いてみました

2011-06-12 01:16:18 | 

 

木曜日の午後、仕事帰りですが、
ちょっと谷六の空堀商店街を
歩いてみました。

商店街の一角に
ちっこいギャラリーがあります。
教え子の中に絵を描いている子がいて、
ここのポストカード展に
出品しているというので
覗きに行きました。


ギャラリー「そら」ね。↓

 

それでもって、関係ないようだけど、最近、読んだこの本、↓


万城目学「プリンセス・トヨトミ」です。


大阪の街を舞台にしていて、
面白そうだなと思って
読んでみたのですが、
うむ、大変面白かったです。

よくまあ、奇想天外な
これだけのほら話を
うまく積み上げ、積み上げして
ホントらしく仕立て上げたものだ、
と、感心してしまいました。
(あり得ない話ですけど。)
でもうまいこと壮大なファンタジーに
仕上がっていますよね。

この小説の舞台が
実はこの「空堀商店街」。
しかも、映画化されて只今上映中。
(映画、見てないけど)

だからギャラリーを覗きに行くのは
良い機会だったのであります。


「空堀商店街」ね。↓

 

ギャラリーのおばちゃんに聞くと
(親切にお茶を出して頂きました。)
ロケの時は、大騒ぎで、
商店街が通行不能にもなり
ブーイングもあったとか。
楽しそうに話してくれました。

商店街の見学客も
増えているようです。

 

商店街は谷町筋から坂道ね。↓


小説に登場するお好み焼き屋「太閤」に
イメージされた「富沙屋」です。↓


松田優作も通ったお店とか。(準備中でした。)


何だか懐かしい感じの、
なじみやすいところもたくさんあるような
空堀商店街なのですが、
今はさすがに映画上映中とあって、
カメラぱちぱちするのも
ミーハー的な感じがして、
そそくさと歩き過ぎてしまいました。
(この次、是非ゆっくりおじゃましますね。)

 

あ、そうそう、
教え子のポストカードは
というと、
妖しげな個性的な
作品でありましたよ。

 

 

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本のあれこれ

2011-02-23 01:05:52 | 


本日は体調も崩して、
家でゴロゴロ。
珍しいことではないですね。

大部、あったかくなってきたので
山歩きのことも
考えていいのではないかと
思っていますが。



最近ご無沙汰なので、
「本」のことでも書いてみようと
思うのですが、
ご無沙汰している分だけ、
随分たまっているような気がします。



野上弥生子「迷路」





同僚の友人に薦められて、
「まあ、たまには人の薦めで、読んでみるか。」
と、謙虚な姿勢で読みかけたのですが、
古風な小説で、読み切るのに、ちょっと苦労でしたね。
私小説モードの近代日本文学風土の中で、
構想力、構築力のある総合小説は期待されないのかと、
ひと頃よく言われていたような気がします。
そういう時代の中で、
果敢に挑戦された総合小説なのでしょうか。
でも、それだけの力量のある人で、
凛とした知識人という印象を受けました。
読みながら、なぜか「チボー家の人々」を
思い浮かべて、おりましたが。


柄谷行人「世界史の構造」

理論の切りつめた先端部分を解きほぐしつつ、
つなぎ合わせてきたこれまでの作品から、
集大成的に世界観のまとめに入ってきたような感じ。
以前の作品の張りつめたような緊張感の方が、
読んでいてスリルがありましたけど。


小川国夫「弱い神」

若いときは、小川国夫の本に
随分励まされたように思いますが、
少し前に亡くなりました。
遺作のこの本を沢山本屋を廻って探しました。
装幀がデカ過ぎる本です。
(こんな大きな本にしなくていいのに!)
解説の長谷川郁夫の文章が良いです。


中井久夫「日本の医療」

若い頃、変名を使って書いた
三一新書版のものを所収。
「三一新書」というのが時代を感じさせますね。
何で、こんなマイナーなはずの本が
場末の本屋さんに並んでいるのだろう?
と不思議に思って買ってしまいました。


大澤真幸「『正義』を考える」

流行のサンデルさんではないですが、
大澤さん、なかなか頑張ってますね、という感じです。
面白く読みました。


・・・・

と、書き出したら、なんかきりがないようで
続きは、またの機会にしましょう。
(ブログネタがない時ね。)



今は、村上春樹の読み逃してきた短編と、
中井久夫の「統合失調症1」を読みかけていますよ。


(退職後は、さて、どういう本の読み方に
なるんでしょうかね!?)


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村上春樹のことね

2010-12-19 17:52:42 | 


そろそろ、最近読んだ本の話題で、
と思うのですが、
そうなると、村上春樹の本が
のど元に引っかかって
何故か少々腰が重くなります。
スルーして先へ進みたいのですが…。
(複雑なのですよ。)

だからちょっとだけね。


村上春樹
「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」





小説が面白い作家って、
あまりその人のエッセーは
読む気がしないし、解説本も
あまり読まないようにしています。
でも、これはインタビュー集だし、
お気楽だから読んでみました。
面白うございました。
小説だけで感じてきたことが、
色々立体化されるところもありました。

初めて知ることもたくさんあったし、
「へ~なるほどね~。」
と、思うところもたくさんありました。

(毎日のように、マラソンやってる
ということも知らなかったし。
イメージ変わったけど。)

デビュー作以来伴走するように読んできましたから、
色々な思いはありますが、
「あら、あの小説の頃は、作家としてはそういう思いだったのね。」
と思ったり、
「作家としてはそうかもしれないけど、読者としてはこうだよ。」
ということもあったり。

「ノルウェーの森」がリアリズム小説
だって言うのには正直驚きましたね。
そりゃー分類すればそうかもしれないけど。
(ちょっと違和感ね。)

「自己表現しようとする罠」なんて
「なるほどね~。」という箇所かな。


と、まあ、伴走するように読んできた
一応のファンとしては、色々思うこともありまして、
内田樹のように手離し絶賛というわけには行きませんし、
何だか、話題にするのが腰が重いのであります。
書き出すとどんどん文章長くなりそうだし。

それにしても、読みながら過去の作品の内容を
からっきし覚えていないことに
我ながらあきれてしまいました。
(少し、読み直してみますかね。)



でも、今でも最高傑作は
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
だと思ってるんですけど。




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須賀敦子を読んでいます

2010-09-26 14:41:34 | 


とくにはまっている
というわけではないのですが、
あれこれ他の本も間にはさみながら、
須賀敦子を読んでいます。

もともと、中井久夫が
そのエッセーの中で褒めているのを
気にしながらも

「外国の生活・紀行文も何だかな~」

と縁がなさそうに思い、
手に取ることもしなかったのですが。






「遠い朝の本たち」
「ミラノ 霧の風景」
「コルシア書店の仲間たち」
「旅のあいまに」
「ヴェネツィアの宿」・・・

と読んできました。


何やら奇妙な
異空間に入り込んだような
読書体験であります。
自分の読書経歴の中で
どの辺に位置づけたら良いのだろうかと
少々居心地の悪さも味わいながら、
引き込まれております。


私たちが生きた世界の少し向こう側で
こんな人生の歩みもあった
ということでしょうか。


街角の画廊に開かれている個展を
ゆっくりゆっくり観ている感じですかね。
作品の細部は友人たちの近景が丁寧に描かれながら、
気が付くと、額縁の中の遠景に静かにおさまっています。


「ヴェネツィアの宿」まで読んできたとき、

「あ~、これは小説なんだ。」

という思いを強くしました。

全体の構成の見事さに気が付きました。


いずれも、著者が出会った友人たち、
そして
家族の姿を描きながら、
彼らへの静かな響きをたたえた
鎮魂の書となっています。


そう思うと、
著者没後、12年も立って読んでいると
作品全体が著者自身への、自らの
鎮魂の書のように思えてきます。




「須賀敦子DVD保存版」
発売の新聞広告が出ていました。

結構ファンが多いのでしょうかね。

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体調不全で読書

2010-09-06 01:21:07 | 


金曜日は職場の小宴会で
中華でした。
なべさんの胃を気遣って、
食べられそうな料理を
選んでくれるのですが、
宴会だと何故か
食は進みません。
ゆっくりゆっくり食べるのが
かえって良くないような気もするのですが。


いつもよりワインを飲んだせいか、
土曜日は体調不全。
若い人は土曜日も仕事のようで、
元気でうらやましいというか、
恐れ入りますという感じです。


そんなわけで、
土曜日、日曜日は引きこもりで
「須賀敦子全集1」を読んだり、
「つげ義春コレクション・旅のエッセイ」
を読んだりで、
少しだけ読書三昧でありました。


  



「須賀敦子」と「つげ義春」なんて
妙な組み合わせで、アンバランスですかね。


牧水さんの「みなかみ紀行」を
読んだ後、
なぜか今まで流し読みしていた
つげの貧乏温泉旅行記を
ちゃんと読みたくなったのでありました。
身につまされますが、なぜだかしみじみですな。


「須賀敦子」はハイソでインテリな感じで
最初読みづらかったのですが、
次第に引き込まれて、気に入ってしまい、
読み終えると、「次を」と思い
夕方、本屋へ出かけようとしたのでありました。
(日曜日はやや体調回復ね。)


ところが夕立でありました。


天気雨ね。西の方に太陽はさんさんと照っています。↓






それでも、出かけて
「須賀敦子全集2」をゲットして
参りました。
(全集と言っても文庫本だからね。)



でも、なべさん、こうして、
しみじみ本や高尚本を
読んでいると

休日明けの仕事復帰が
つらくなるのよね。

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牧水さん、いいですねぇ

2010-08-28 16:23:25 | 


この夏の上州路旅行で
たまたま牧水の像と歌碑を
見る機会がありました。


 
 上野(かみつけ)の草津の湯より
 沢渡(さわたり)の湯に越ゆる路
 名も寂し暮坂峠



この暮坂峠にあるものでありました。
今でもひっそりとしたこの峠に
非常に雰囲気良く
建っている歌碑でありましたので、
なべさんは、気に入ってしまいました。



旅行から帰って、若山牧水の

「みなかみ紀行」

を読んでみました。






牧水といえば
「幾山河越えさり行かば…」
程度しか知らなかったのですが。


これがなかなか面白いのです。

大正12年の旅は、
佐久・小諸から草津温泉、花敷温泉、
沢渡温泉、四万温泉、法師温泉、
それから片品川を遡って
老神温泉、丸沼へ行き、
金精峠を越えて
日光湯元へ抜けています。

なべさん、花敷温泉を除くと
ほとんど足を運んだことがあるところでした。
(登山のついでですが…)

大正12年の牧水の旅が
どんな風であるか、
自分の行ったことのある風景と
照らし合わせながら読んでいると
ことさら興味深いのであります。


牧水は行く先々で主催する歌誌の
同人達に歓待され、入れ替わり立ち替わり
それらの人が旅の同行者となったり、
はたまた、皆去って一人旅になったりします。

江戸時代の俳諧師の旅が、
その土地の豪農・名士の家に
豪奢に歓待されて旅するのと違って、

牧水を歓待する同人達は
孤独に歌を詠む地方の
農民達であったりします。
何処で歌を作るのかと問われて、
「何処ということもありません、
山ででも野良ででも作ります。」
と言う。
地方で孤独に歌を詠む農民にとって
歌を詠むということは
遠く離れた広い世間への
細いつながりの糸だったようです。

それが何ともしみじみと好ましいです。


「吾妻の渓から六里が原へ」
の紀行文では
泥道の峠をはいずり回るように、
ほうほうの体で登っていく様が
何ともユーモラスであります。
これは哀切感があって、名文ですね。


この夏、出かけた四万温泉では、
牧水さん、随分ひどい目にあったらしい。
牧水さんにこんな風に書かれて、
旅館たむらも100年も記録が
残って悔しいでしょうね。


件の暮坂峠の所は
意外とあっさり書かれているのですが、
大正時代から、今や、
あちこちの風景が変わってしまった現在、
あの暮坂峠は、路こそ舗装されているものの
今でも昔の名残を残して(たぶん)
寂しげにひっそりしているのでありました。


そう思うと、実に絶妙なところに
牧水さんの像と歌碑を建てているものだと
改めてしみじみ思うのでありました。




(なべさん、いつかはまた
牧水さんの旅の後をたどって…
行きたいものでありますね。)

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