ずぶぬれで、好山荘の
玄関を入っても誰も出てきません。
しょうがないので、靴を脱いで、
合羽を脱いで、上がり込み、
テレビが付いたままの居間らしい所を
のぞき込むと
女将さんらしいおばちゃんが
寝ておりました。
声をかけると、ずぶぬれのお客を
いやがりもせず、
親切にして頂きましたよ。
どうやらこの日のお客は
なべさんお一人のようであります。
さて、部屋で一呼吸置いて、
「温泉~、温泉~、」でありますな。
まずは、内風呂であったまって、と思い、
入ってみると立ち寄り客の先客が。
内風呂隣の露天風呂。↓
湯は濃い褐色の泥のような湯。
タオルを使うと一辺で
茶色に染まってしまいます。
一息ついてロビーで休んでいると、
宿の主人が自慢します。
「うちの湯はめったにない70度の源泉!
よそにはないよ!よその
たいていの湯は沸かしてるんだからね。」
女湯の方が地震で壊れて、
新しく作り直したとか。
でもって、新しく広いし、
「今誰も入ってないから、入れ、入れ。」
とお薦めであります。
こんな風ね。 ↓
地震では湯船の真ん中が割れてしまったとか。
ちょっと離れた外にもう一つ
露天風呂があります。
ここは乳灰色の湯で、泉質が違います。
ん?これ何? ↓
大きなタンクみたい?↓
何と脱衣所のようであります。 ↓
こちらの露天風呂はなかなか風情がありますよ。↓
いや~好山荘、なかなかのもんです。
ご主人のおっちゃんも面白いし。
自分ところを自慢しつつも、
「黒湯、塩原の黒湯!良く行くけど、
あそこはいいよ。姥湯もいいね。」
「明日は微温湯温泉行くの?
あそこのぬるさは半端じゃないっての!
入ってられないんだから。
わしは酒ばっかり食らっていたんだぁ。」
「震災で、客は減ったなぁ。福島の物は、
放射能がどうのこうのって、
わしらが悪いように云うけど、
悪いのはわしらじゃなくって、
電力のあっちの方だっちゅうの!」
話し好きの親切なご主人であります。
番頭さんも面白いです。
「昔と大部変わったね。
荷物かついで、自炊で何日も
泊まるってのも少なくなったんだぁ。」
「2,3千円で泊めるっていうのも
建物の維持とかで採算とれねえんだぁな。
時代が変わったんだねぇ。」
「若い人が車で来るから、
駐車場ないとダメだし、
そういう時代なんだぁ~。」
というわけで、夕食は、
昔風のお膳での食事であります。
お宿には気の毒ですが、
広いお宿にお一人の客というのも
「しみじみ~」で良いものだと
思ったのでありました。
(雨も降り続いているし。)