散歩するなべさん

しょうがなくも所在なく散歩するなべさん。近頃野鳥に目覚めて鳥見お散歩の日々。病気もしたけど時には山歩きに物思い旅ね。

「天地明察」面白いね

2010-07-26 00:51:23 | 


本屋に積み置いてるベストセラー本は
たいがい、

「ふ~ん、最近はこんな本が売れてるのね。」

という程度で、
手に取ってみたりもしないのですが、
この本は、

「ん?渋川春海!?を、題材にした小説?」

と手に取ってみたのであります。


「天地明察」冲方丁(うぶかたとう)




渋川春海=安井算哲は
歴史の教科書に「貞享暦改暦」で
ほんの一行だけ登場する人物であります。
一行だけの人物に、しかも理系チックな人物に
これだけの分厚い小説になるような
どんな背景があるのだろうと
文系なべさんは
ちょっと興味を持ったのでありました。


いやあ、面白い小説でした。
ユーモアといじらしさと執念があって、
何よりも嫌みがないですな。
それでいて、江戸時代の風景から
浮いた感じがしないのが、作家の手腕でしょうか。
渋川春海の実像に
どれくらい沿っているのかわかりませんが、
春海にからんでくる人物が、
皆、良い人たちなのが好もしい。
そういう徳のある人物であったのでしょうか。

観測をしてまわるときの上司、
伊藤と建部の爺さんがなかなかよろしいですな。
えんという妻になる女性も
キュートに描かれています。
関孝和が見事な脇役風に登場します。

楽しく読ませていただきました。

冲方丁、直木賞を逃したようですが、
賞に関係なく、もう充分
存在感のある作家といえるでしょう。




(ところで、カレーは
まだいっぱい残ってるのよ。
関係ないけど。)


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最近読んだ本ね

2010-07-05 01:37:31 | 

もう、7月なんですよね。


大腸検診後、

「2週間は大人しくね。
激しい運動はダメですよ。」

と言われているからではないんですが、
どことなく、病後感覚ですな。
体調不良の感じで、けだるいまま
家でじっとしておりますです。

さてそこで、
(何が「そこで」かわかりませんが…。)
なべさんの最近読んだ本でも
あげておきましょう。


鶴見俊輔「思い出袋」(岩波新書)





俊輔さん、面白いね、と以前申し上げましたが、
この本も面白い。
八十歳のご老人にしてこの精魂こもった文章です。
ひたすら、不良少年にこだわり、
筋道を立てようとしています。
たくましいですね。


古井由吉「やすらい花」(新潮社)

相変わらずの古井さんです。
中の「生け垣の女たち」がどちらかといえば、
かっての古井さんらしい小説。
人がどことなしの気配を持って生きている。
気配と気配がふと擦れ合い、
絡み合って、また離れていく。
この雰囲気いいですね。

でも、それなりの気配を持った人って
いなくなりましたよね。
(それなりの「気配」ってどんなの?
って聞かれても困るけど…。)


司馬遼太郎「世に棲む日々」(文春文庫)

やっぱり司馬さん、小説うまいです。


中井久夫「隣りの病」(ちくま学芸文庫)

これを読み終えて、今
「記憶の肖像」を読み始めています。
第一エッセー集に逆にたどりついて
読んでいると、これが非常に新鮮で、
中井久夫のエッセンスが匂い立つように
立ち上ってきます。
うれしいですね。
美しい本だと思います。


その他、藤沢周平とか、もろもろ。駄本もね。



でも、それより
早く体調戻して、
遠く遠く、お出掛けしたいんですけど。
何せ、もう7月なんですから。

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中井久夫の「記憶の肖像」

2010-06-07 00:10:18 | 

週末、久しぶりに本屋へ寄ってみると、
探している本は見つからず
その代わり、ひそかにその増刷を
待っていた本を発見して
うれしゅうございました。


中井久夫の「記憶の肖像」ね。↓





中井久夫のファンであります。

ずいぶんと昔、

「精神科治療の覚書」

で感心して以来、
(こんな本、誰にでも書ける本じゃないですね。)
みすずで出ているエッセー集を、
新しい方から少しずつ買っては読み
していたのですが、
(みすずは高いので大人買いは出来ない)

さあ、次は
第一エッセー集の「記憶の肖像」に、
とさしかかったところで、
本屋からその本が
消えてしまっておりました。

品切れのようでありました。

以来、いつかはあるかもしれない
増刷をひっそりと心待ちに
しておったわけであります。


そんなもの、
ネットで探せばすぐでしょうに、

と言われそうですが、
何せ古い人間ですので。

それとなく長いこと探していた本を
本屋でふと見つけてしまった時って

いいものですよ。


中井久夫の
初めての文庫本も
最近2冊出ているので
うれしいことでした。

これも手に入りにくいやつでしたので
なかなか良いことでありましたね。

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「人間は考える管である」

2010-02-20 00:40:35 | 





福岡ハカセの本(「動的平衡」)を読んでいたら
こんな箇所がありました。


ミミズは人間の遠い遠い祖先。
消化器の管のようなもの。
この消化器の周りの神経が
ミミズの生命活動を支えている
脳のようなものである。

この原始性を人間も保持している。
そこで人間の消化器の周りの末梢神経は
リトルブレインとも呼ばれるのである。

「私たちは、もっぱら自分の思惟は脳にあり、
脳がすべてをコントロールし、
あらゆるリアルな感覚とバーチャルな幻想を
作り出しているように思っているけれど、
それは実証されたものではない。」
「消化管神経回路網は…脳と比べても全然リトルでないほど
大がかりなシステムなのだ。私たちはひょっとすると、
この管で考えているかもしれないのである。」
だから、

「人間は考える管である。」

とまあ、こういうことになるようです。


たぶん、初めて聞くお話ではないのですが、
消化器をあちこち寸断したなべさんとしては

「ふむふむ、なるほど!?」

とうなってしまいます。


すると何ですな。
胃を切って、残胃と小腸をつないで、
その周りの神経もたぶん寸断されたなべさんは、
リトルブレインを寸断されたというわけね。


単に、体調が一定せず、何やらいつもストレスを
抱えているような体調不良だけでなく、
どこか思考も乱されてるのでしょうか。
思考の底流みたいな所ね。

「そういえば…。」

と思い当たるところがあるような、
ないような。

意外と周りの人が
「このごろなべさん変ね。」
と思ってたりして…。どうでしょう?

(ちょっと、老化が早まっただけでないのかね。)


先日の主治医の話では、

「神経が寸断されて、腸のぜん動運動がうまく調節されないけど、
そのうち神経もまた再生されてコントロールされるようになるからね。」

と仰せでありました。


そのときは、
なべさんのリトルブレインも
きっと復活するのね!?

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最近読んだ本です

2010-02-11 00:05:29 | 

ライブに出かけたあと、
しばらくダウン気味でありました。
日がな1日体調不良。お腹の据わりが悪いです。
仕事はしていますけど。

三寒四温と言うけど、
なべさんの体調も三寒四温なのね。

ゴロゴロしながら最近、読んだ本をあげてみましょう。


藤沢周平;「用心棒日月抄」「静かな木」「冤罪」(文庫本)

やっぱり武家物が面白いね。貴重な癒し本。
でも周平作品を全部読んでしまったら、
楽しみなくなってしまうのが、こわいですね。
まだ読んでないの大部残ってるけど。
(なべさんの寿命も心配ですが。)


大江健三郎;「臈たしアナベル・リイ総毛立ち身まかりつ」(単行本)

最新作の「水死」を一応買ってみました。
でもその前に、つん読状態だった
この本を読んでおこうと思ったのですね。
どうも最近は大江に食指はあまり動かないのですが。
文体が持って回った言い方のように感じられて、
最近は気になってしまいます。


マルコ・イアコボーニ;「ミラーニューロンの発見」(ハヤカワ新書)

以前ある臨床心理の本を読んでいたら、
ミラーニューロンに触れているところがありました。

「手を振る相手を見ているあなたの脳では、
あなた自身が相手に向かって手を振るときに活動する
神経回路の一部が実際に活動する。」
「すなわち脳は、相手の行動の意味を、
一度自分の神経回路を意識下で動かすことで理解する。」

「へえーそうなんだ、これは大変。」と思って感心しました。
(ん?何が大変?)
それでもって、素人向けの解説本が
ようやく出たので、読んでみようと思ったのでした。
池谷裕二の脳の本なんかと重なるところもあるみたいで、
面白かったですね。


鶴見俊輔;「言い残しておくこと」(単行本)




俊輔さん、面白いですね。
戦後の彼の周りの人脈地図なんかが浮かび上がって興味深い。
とくにベ平連の動きなどは、
なべさんの高校生の頃を思い出して、
重なったりしますから、面白いです。

なべさんの最初の大がかりなデモ参加は
「佐世保エンプラ闘争」でありました。
高校3年の卒業前でありましたよ。
(わけもわからない後ろの方で、ショボかったけどね。)



福岡ハカセとか、池谷裕二とか科学読本を流行にまかせて、
読むんですけど、読んでるときは

「ふむふむ、なるほど、これは面白いね。」

と感心もし、啓蒙もされるのであります。
ところがいかんせん、文系頭のなべさんは、
読んでしばらく立つと、

「あれって、どんな内容だったかな?」

と、あまり頭に残ってないような気がするのです。



(悲しいですね。)


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「差別と日本人」面白いです

2009-12-24 01:10:49 | 

休日は相変わらずのごろ寝、
では申し訳ないので、
寒いけど散歩に出ようと思ったら、
雨が降ってきたので、
取りやめにして、

また、ごろ寝であります。

(しょうがないですね。)


ごろ寝ばかりで、全く申し訳ないので、
読みかけの本を手にとりました。


「差別と日本人」野中広務・辛淑玉




よく売れているので、
読んでみようかと思って買ったのでした。

なかなか面白いですよ。おすすめですかね。
辛の所々に挿入された解説もいい。
すべてが表面を滑っていく世の中で、
「ねえ、もう一度きちっと押さえるところを
押さえようじゃないですか。」
と言われているような気になりますね。


野中についてはいろいろ評価があるにしても、
こんな風に根っこの部分をしっかり
腹に収めた政治家がいなくなりましたね。
後藤田正晴もいなくなったし。
(政治家に限る話ではないですが。)


辛は、野中の腹の中に踏み込もうとして、
発言を引き出しながら、最後に

「家族だけは守らなきゃいけない……と思ったんですよね。私たち…。」

という言葉で対談を閉じている。

なかなかよろしいですな。


根っこの部分が置き去りにされ、
上滑りに滑っていくような物事の動きは
ますます強くなっていきますよね。
身近な場面でいくらでもあることです。
(老兵のつぶやきのようですが…。)



さて、年末ですよ。
なべさん、着ぶくれしてでも、
しっかり散歩しましょう!!


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たまには読みやすい文章で・古井由吉

2009-12-12 17:59:46 | 

古井由吉の「人生の色気」という本を読みました。
インタビューでの語りの本であるから、読みやすい。





なべさんは、作家古井由吉のファンである。
古い昔、「杳子」を読んだとき、「これは古典になる作品だね」
と思ったものであります。

以来古井の作品を愛読しています。
(でも、最近は、読みづらくって大変なのね。)

「聖」「親」「栖」の頃は、読んでいて実にスリリングな気分でした。
古井の作品は、おおむね、山を下りてきた主人公が市井に紛れていく、
しかし、気分はまだあちらの世界から抜けきらず、
あちらとこちらの世界を境目も定かならず漂っている、
という雰囲気のものです。(当たっていますかね?)

この漂いぶりは、その後文体そのものに深くしみ通っていって、
一方で快楽になっていくのですが、
一方でははなはだ文章をわかりづらくもしていって、
読者にはつらいものとなっていきました。
それでも、なべさんは、
「いろんな小説を捨てていって
最後に残るのはやはり古井の小説だね。」
と思っているのです。

この当たりの経緯を古井自身が語っている部分があって、
「ふむふむそうやろう」と、はなはだ興味深かったですね。
「80年の節目に『流行作家』になるのを断念した。」
というところです。
たしかに読者としても思い当たることがありますよ。

普段読みづらい古井の小説を読んでいるものとしては、こうして、
たまに読みやすい形で古井の世界に触れるのはありがたかったです。
語りとはいえ、
「軒の下から暮れてくる」「生死の境目から言葉は生まれる」
など、最後の段になってくると、古井自身が興に乗って、
その世界をヴォルテージ高く語っています。

なかなか圧巻でありました。


(温泉ばっかりでなく、たまにはこんな話もネ。)

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「韃靼疾風録」を読みました

2009-11-21 00:50:20 | 

今日は職場の小宴会。
体調まだ良くないけど、
なべさんの快気祝いも
含んでることだし、出席ね。



ところで、買った本の話はするけど、
「読んだ本の話はどうなのさ。」
(という声は別に聞こえてこないけど、)

読んだ本の話。

司馬遼太郎の「韃靼疾風録」読了。

面白い本でありました。




司馬遼太郎は、歴史好きの人の例にもれず、
なべさんも、一頃読んでおりましたが、

しばらく遠ざかっておりました。

いつまでも、大河ドラマ風の俯瞰的な歴史小説も
「何だかなあ~」
とやや食傷気味になったところもあるでしょうか。

藤沢周平の味わいが絶対いいよね~
なあんて思ったりもしてね。


読み残したやつを久しぶりに
手に取ったのは、このたびの入院中。

「翔ぶがごとく」でありました。

西南戦争に至る西郷隆盛を描いておりますが、
さすがに、つかまえどころの難しい「西郷」を
ああでもない、こうでもないと
周りからかからめとるように描こうとしながら、
手こずっているような印象でありました。
その分だけ読みずらいのでありましたが、
かえってその手さばきに、あらためて、
感心もしたのであります。

そこで、感心した名残に
この「韃靼疾風録」を手にしたのでありますが、
またあらためて感心した次第であります。

満州から、モンゴル草原にかけての、
「風」と「空」と「土」をあたかも肌で
感じるかのように読むことが出来ます。
宮城谷の中国歴史小説も
気品があって好きですが、
この小説には司馬遼太郎が
この地の土を、手につかんで味わいつつ、
広がる砂塵の荒野を眺めているような
風情が浮かんできます。いかにも
この地に愛着を持っているのでしょう。
これが、司馬の最後の歴史小説だったことは
案外意義深いものかもしれませんな。

と思ったわけであります。


そこで、司馬遼太郎の良い作品。3点。
「韃靼疾風録」
「故郷忘じがたく候」
「空海の風景」

ね。


(全部は読んでないけど。)










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買った本は、最後の遺作!?

2009-10-23 23:50:51 | 

ふ~っ、
ようやく週末であります。


今週のお仕事は
半病人のなべさんとしては、
なかなかハードでしたね。

その程度のことで、
こんなこと言うと
大変忙しく働いている方々に
申し訳ないですね。


週末ですから、
少し遠回りして、街の
本屋さんに寄りました。

買おうとする目的の本は見つからず、
結局こういう時って、
予定外の本を、ふらふらっと
買ってしまうのですね。


買った本は2冊。

竹内敏晴「『出会う』ということ」↓




竹内敏晴は、
「からだとことばのレッスン」を
「生きることのレッスン」として
長い間実践してきた人。

「ことばが劈かれるとき」は名著でしたね。
これを読んで以来、畏敬の人です。

時々、思い出したように彼の本を買ったりします。
本で感心しながらも、何より実践の人ですから、
一度、レッスン現場を覗いてみたいな
と思ったりもしたこともあるのですが。

おっとびっくり!

本の著者紹介を見ると、
「2009年9月7日死去」
とあります。

知りませんでしたね。
著者あとがきの日付が
9/5とあります。
おどろきです。(合掌……。)


もう1冊は、
レヴィ・ストロースの「パロール・ドネ」↓




これは、「中沢新一訳」に惹かれたのね。
中沢新一も「チベットのモーツァルト」以来、
時々思い出したようにその本を買います。

特に最近、面白く、
「これはなかなかの力作や」と感心もし、
結構遅読のなべさんが、一気に読んだのは、

講談社選書メチエ版「人類最古の哲学」
に始まる5冊本シリーズです。

王=権力者を生み出さない社会は
どのように可能だったかを
長い射程で説き起こしていくのは
なかなかスリリングでありました。

この「パロール・ドネ」も
講談社選書メチエだから、
その勢いで買ったのね。(多分)

こんな風に、その時の気分で買った本は
積ん読になってしまうことが、
えてして、多かったりする(?)んでしょうね。


でも竹内さんの本は最後の遺作だから


きっと、読みましょうね。(自戒)



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雨ですね

2009-09-30 19:30:24 | 
今日はなぜだか仕事が休み。
でも雨なので散歩も出来ない。

ほんでもって閉じこもり。

まだ要領を得ないブログをいじってみたり、
本を読んだり。





最近、池谷裕二の「単純な脳、複雑な『私』」
を読んで感心したので、
つん読状態だった文庫本「海馬」
をひっぱりだして読む。

ひと頃盛んに言われた「身体知」(今でも言ってるけど)
を脳の観点からなるほどとうなずかせてくれる。

鶴見俊輔の「不逞老人」も読みかける。

あまり鶴見の良い読者ではないが、
以前「期待と回想」(?こうだった?)を読んで、
気になる人に。

しぶとく、奥が深そう。
でもプラグマティズムって
もうひとつよくわからないのね。

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似顔絵を入れてみました。
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