ごっとさんのブログ

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小さな泡 ウルトラファインバブル

2016-05-15 10:04:06 | 化学
タイトルのような見出しで、新聞の科学欄に記事が出ていました。

水の中に0.1μmほどの小さな空気の泡を入れたものですが、色々な特性が出て脚光を浴びようとしているようです。通常の泡の概念では、静置しておくと徐々に浮かんではじけて消えるというイメージですが、このくらい小さくなると浮かぶこともなく水から消えることもないようです。

ただその存在の証明や大きさの測定が難しく、まだ国際的にも標準化を進めている段階です。現在のところこの小さな泡が入っていると、緑色のレーザー光を当てると、緑色の光の筋が浮かび上がるといった方法で確認されているようです。

この記事を読んで私が数年前にやっていた、高分子の分散液を思い出しました。高分子に水溶性の部分と水に溶けない疎水性の部分を適度に組み合わせたものを作り、これに水を加えていきます。

水が少量の場合は、高分子中の親水性の部分に水が溶け込んでいきます。この水を増やしていくと、水は溶けていくのですが、粘度がだんだん上昇していきます。それでも水を加えていくと、高分子が水を溶かす限界点となり、高分子が疎水性部分を内側にして、親水性部分が外側になった非常に小さな粒子となります。この時点で粘度は急激に減少し、高分子分散液となるわけです。

この時の粒径が10nm(0.01μm)程度ですと、できた分散液は完全に透明となり高分子が溶けているのと変わらないような形状になります。しかしこれはあくまで非常に小さな粒子が存在しており、レーザー光を当てると光るような液体となります。この場合高分子は液体ですが、これが気体となったものがタイトルの泡ということになりそうです。

このウルトラファインバブルの製造法もいろいろ試みられており、非常に細かい隙間のある材料に空気を通したり、気体をいったん水に溶かしそれを加圧した後一気に減圧する方法、気体を水中に吹き込んだのち全体を回転させ切断する方法などが試みられているようです。用途は現在探索中のようですが、色々な洗浄用に用いられています。これは細かい泡が汚れの下に入りはがす作用のようです。その応用が太陽光パネルなどの薄膜をはがす用途もあるようです。

開発中のものとしては、食品の香りづけや農業への応用が検討されています。しかしこのあたりのメカニズムはほとんどわかって今いようで、これからの研究を待たれるところです。この分野は世界的にも日本がややリードしているようなので、面白い成果を期待しています。

今日私はこれからギター仲間の合宿に行ってきます。ですから明日のブログ更新はできないかできても午後遅くになりそうです。