東京大学と麻布大学の研究グループは、オスマウスの涙に含まれるフェロモンの働きを解明したと発表しました。
フェロモンというのは、他の固体に作用する微量物質のことで、ホルモンは作り出した固体に作用するという点が違っています。このフェロモン研究は1980年代に昆虫フェロモンの探索から始まりました。
フェロモンといっても仲間を集める集合フェロモンや、オスが出してメスを呼ぶ性フェロモンなどいろいろあり、集合フェロモン類から始まったようです。私の知り合いの先生方もこの方面の研究をしている人も多く、色々見学させてもらいました。
当時の研究手法としては、実際の昆虫を用いたアッセイ法しかなく、研究室中昆虫だらけになっていました。大量の固体を集めたり、アッセイにそれほど広い場所を必要としないといった点から、昆虫がターゲットなったようです。この1990年代になり非常に多くの昆虫フェロモンが発見され、集合フェロモン類は実用化に近いところまでいったようです。
この実用化にはいろいろ問題もあったようです。例えば害虫の集合フェロモンと殺虫剤を使って、実際の農場で試験すると、非常に良い殺虫剤を使ってもすべての集まった害虫を殺すことはできないようです。害虫といってもフェロモンで集まってくる成虫は何の害も出さないのですが、幼虫が農作物を食べて被害が出るわけです。そうすると生き残ってしまった成虫が卵を産み、次の年はかなり被害が出るのですが、この処理をした近辺の農場はほとんど害虫がいなくなるという結果が出たようです。
このような問題をどう解決したのかわかりませんが、このフェロモン研究はいろいろ面白いことも多かったようです。
さて今回はマウスのフェロモンですが、涙中に含まれるペプチドのESP1と名付けられた物質です。通常フェロモン類は水に溶けず、比較的揮発しやすいものが多いのですが、完全に水溶性で揮発しないものがどうやって作用を発揮するのか、ある意味面白い物質です。
このフェロモンはメスのマウスに作用し、性的興奮を誘発する性フェロモンとされていました。それだけではなくオスのマウスには、攻撃性を増す作用があるようです。今回このESP1を分泌する固体について調べたところ、このフェロモンによって、やはり攻撃性が高まることが分かったようです。前述のようにフェロモンという物質は、他の固体に作用するものですが、このように自分自身にも作用するというのは、フェロモンのあたらしい概念を提供する発見としています。
このように現在は昆虫だけではなく、高等動物のフェロモン研究も行われるようになりました。このなかでどんな新しい知見が出てくるか、面白そうな気がします。
フェロモンというのは、他の固体に作用する微量物質のことで、ホルモンは作り出した固体に作用するという点が違っています。このフェロモン研究は1980年代に昆虫フェロモンの探索から始まりました。
フェロモンといっても仲間を集める集合フェロモンや、オスが出してメスを呼ぶ性フェロモンなどいろいろあり、集合フェロモン類から始まったようです。私の知り合いの先生方もこの方面の研究をしている人も多く、色々見学させてもらいました。
当時の研究手法としては、実際の昆虫を用いたアッセイ法しかなく、研究室中昆虫だらけになっていました。大量の固体を集めたり、アッセイにそれほど広い場所を必要としないといった点から、昆虫がターゲットなったようです。この1990年代になり非常に多くの昆虫フェロモンが発見され、集合フェロモン類は実用化に近いところまでいったようです。
この実用化にはいろいろ問題もあったようです。例えば害虫の集合フェロモンと殺虫剤を使って、実際の農場で試験すると、非常に良い殺虫剤を使ってもすべての集まった害虫を殺すことはできないようです。害虫といってもフェロモンで集まってくる成虫は何の害も出さないのですが、幼虫が農作物を食べて被害が出るわけです。そうすると生き残ってしまった成虫が卵を産み、次の年はかなり被害が出るのですが、この処理をした近辺の農場はほとんど害虫がいなくなるという結果が出たようです。
このような問題をどう解決したのかわかりませんが、このフェロモン研究はいろいろ面白いことも多かったようです。
さて今回はマウスのフェロモンですが、涙中に含まれるペプチドのESP1と名付けられた物質です。通常フェロモン類は水に溶けず、比較的揮発しやすいものが多いのですが、完全に水溶性で揮発しないものがどうやって作用を発揮するのか、ある意味面白い物質です。
このフェロモンはメスのマウスに作用し、性的興奮を誘発する性フェロモンとされていました。それだけではなくオスのマウスには、攻撃性を増す作用があるようです。今回このESP1を分泌する固体について調べたところ、このフェロモンによって、やはり攻撃性が高まることが分かったようです。前述のようにフェロモンという物質は、他の固体に作用するものですが、このように自分自身にも作用するというのは、フェロモンのあたらしい概念を提供する発見としています。
このように現在は昆虫だけではなく、高等動物のフェロモン研究も行われるようになりました。このなかでどんな新しい知見が出てくるか、面白そうな気がします。