前回「慢性炎症」について、通常の急性炎症との違いや、生活習慣病やガンなどの加齢関連疾患に共通のメカニズムとして注目されていることを書きました。
近年の研究で、この老化と慢性炎症をつなぐメカニズムが明らかとなってきましたので、ここではその2として、慢性炎症の原因と特徴および予防について書いてみます。
老化に伴って慢性炎症が起きやすくなる背景として、1.免疫の変化、2.細胞の老化、3.全身的な要因の3つの要因が関与していると考えられています。
まず免疫力の変化については、簡単に言えば死んだ細胞の「食べ残し」が増えてくるということになります。老化に伴って、死んでしまう細胞が増えてきますが、この細胞は免疫細胞の一種であるマクロファージによって迅速に処理されます。
この処理というのは、マクロファージは異物を掃除する役割があり、死んだ細胞を食べてその場から消してしまうことを指します。しかし加齢に伴ってマクロファージの機能が低下すると、死んだ細胞の食べ残しが生じてしまうのです。この死んだ細胞のかすは免疫細胞が働く刺激となり、炎症が収束しなくなってしまい、その結果慢性的に炎症が続く状態になるのです。
次の細胞の老化は、「細胞老化関連分泌因子(SASP因子)」と呼ばれる炎症シグナルや老化シグナルを分泌するようになります。これらによって、マクロファージなどの免疫細胞が呼び寄せられ、不要な細胞は身体からきれいに消えてしまうようになっています。
しかし、この老化した細胞がそのまま長期に体内に生存し蓄積すると、SASPによって炎症シグナルが分泌され続けます。するとその周囲の組織に炎症反応や発ガンの促進を引き起こす、生体にとっては好ましくない環境を作ってしまうのです。
全身の変化としては、蓄積した脂肪が関与しています。加齢に伴う全身的な代謝や内分泌系の変化により、例えばホルモンの濃度の変化によって、慢性炎症が誘導されることが分かっています。また、肥満は内臓脂肪組織をはじめとして、さまざまな組織に炎症を誘導します。
加齢により、本来脂肪をためておく場所である皮下脂肪の機能が低下し、行き場所を失った脂肪組織は内臓脂肪や本来脂肪が蓄積しない組織(肝臓、筋肉、骨髄など)に蓄積するようになります。この皮下脂肪以外の場所に蓄積した脂肪が、その組織で炎症を誘導することが明らかとなっています。
老化という言葉を使っていますが、40代後半から50代にかけて急激に病気が増え始める背景には、症状として現れない慢性炎症が関与していたのです。
このように慢性炎症はいわば自然現象ですので、なかなか予防は難しいような気がします。多価不飽和脂肪酸(DHAなど)が良いという説もあるようですが、やはり適切な食事・運動・睡眠が重要なのかもしれません。
近年の研究で、この老化と慢性炎症をつなぐメカニズムが明らかとなってきましたので、ここではその2として、慢性炎症の原因と特徴および予防について書いてみます。
老化に伴って慢性炎症が起きやすくなる背景として、1.免疫の変化、2.細胞の老化、3.全身的な要因の3つの要因が関与していると考えられています。
まず免疫力の変化については、簡単に言えば死んだ細胞の「食べ残し」が増えてくるということになります。老化に伴って、死んでしまう細胞が増えてきますが、この細胞は免疫細胞の一種であるマクロファージによって迅速に処理されます。
この処理というのは、マクロファージは異物を掃除する役割があり、死んだ細胞を食べてその場から消してしまうことを指します。しかし加齢に伴ってマクロファージの機能が低下すると、死んだ細胞の食べ残しが生じてしまうのです。この死んだ細胞のかすは免疫細胞が働く刺激となり、炎症が収束しなくなってしまい、その結果慢性的に炎症が続く状態になるのです。
次の細胞の老化は、「細胞老化関連分泌因子(SASP因子)」と呼ばれる炎症シグナルや老化シグナルを分泌するようになります。これらによって、マクロファージなどの免疫細胞が呼び寄せられ、不要な細胞は身体からきれいに消えてしまうようになっています。
しかし、この老化した細胞がそのまま長期に体内に生存し蓄積すると、SASPによって炎症シグナルが分泌され続けます。するとその周囲の組織に炎症反応や発ガンの促進を引き起こす、生体にとっては好ましくない環境を作ってしまうのです。
全身の変化としては、蓄積した脂肪が関与しています。加齢に伴う全身的な代謝や内分泌系の変化により、例えばホルモンの濃度の変化によって、慢性炎症が誘導されることが分かっています。また、肥満は内臓脂肪組織をはじめとして、さまざまな組織に炎症を誘導します。
加齢により、本来脂肪をためておく場所である皮下脂肪の機能が低下し、行き場所を失った脂肪組織は内臓脂肪や本来脂肪が蓄積しない組織(肝臓、筋肉、骨髄など)に蓄積するようになります。この皮下脂肪以外の場所に蓄積した脂肪が、その組織で炎症を誘導することが明らかとなっています。
老化という言葉を使っていますが、40代後半から50代にかけて急激に病気が増え始める背景には、症状として現れない慢性炎症が関与していたのです。
このように慢性炎症はいわば自然現象ですので、なかなか予防は難しいような気がします。多価不飽和脂肪酸(DHAなど)が良いという説もあるようですが、やはり適切な食事・運動・睡眠が重要なのかもしれません。