ごっとさんのブログ

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「人体」第7集 健康長寿

2018-05-12 10:40:47 | 自然
このブログでもずっと取り上げてきた、NHKスペシャル「人体」の最終回の録画をやっと見ました。

これは3月末に放映されたものを録画しておいたのですが、何かとあり見忘れていました。先日ブルーレイの録画の整理したときにこれを見つけ、1か月以上遅れてじっくり見たものです。

この最終回で注目したものは「ガン」と「心臓病」でした。この2つは日本人の死因の1位と2位を占めており、このシリーズの臓器間のメッセージ物質のやりとりという観点から新しい治療法を模索しています。

ガン細胞の大きさはおよそ100分の1ミリ程度で、周りのタンパク質の隙間を縫うようにして組織の内部を自由に動き回っています。ガン細胞の増殖に欠かせない酸素や栄養分を増設した血管を通してより多く奪い取ろうとしています。また本来ガン細胞を攻撃するはずの、免疫細胞まで手なずけてしまうメカニズムを持っているようです。

このガン細胞が出すメッセージ物質を詳細に観察すると「エクソソーム(細胞外小胞)」と呼ばれる物質を発見しました。エクソソームの内部には多くのメッセージ物質が入っており、これにより新しい血管が出来たり、免疫細胞に攻撃を中止したりさせているのです。

またガン細部の転移についてもエクソソームが重要な働きをしています。例えば卵巣ガンは内臓全体を覆っている腹膜に転移しますが、腹膜は無数の突起物が張り巡らされており、容易にガンが突破できない仕組みになっています。

しかしエクソソームは、腹膜と似た構造を持っているため、難なく突破し「腹膜の役割は終わり」というメッセージを出し腹膜のバリアを壊してしまうのです。このようにガン細胞はエクソソームを使い、体のあらゆるバリア機能を破壊する武器として巧みに全身に広がっていきます。

国立ガンセンターでは、ガン細胞が出したエクソソームを判別して印をつけ、「これは敵」というマーキングができるような技術を開発しました。マーキングされたエクソソームは、免疫細胞が食べてしまうためガン細胞はそれ以上増殖できなくなります。

ガンでの死亡は、最初にできたガンからの転移がほとんどですので、この研究が成功すればがんの転移が抑えられ、死亡率を格段に抑えることが出来そうです。

ここでは心臓病も取り上げていますが、心筋細胞はほとんど増殖しないことが治療を難しくしています。そこで心臓の細胞が出すエクソソームに、人工的に再生させるメッセージ物質を増やすという試みがなされています。

こうしたメッセージ物質をカギとした、体全体のネットワークを理解することで、健康長寿が保たれるのかもしれません。