ごっとさんのブログ

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腫瘍減退の仕組み発見

2018-05-13 09:53:13 | 健康・医療
福島医科大学などの研究グループが、腫瘍内の糖鎖である「α-2.6-シアル酸」が無くなると腫瘍の血管部分の細胞が死にやすくなるメカニズムを発見したと発表しました。

研究成果は、従来にはない効果を持つ抗ガン剤の開発につながる可能性があるとしています。

このシアル酸糖鎖というのは、通常たんぱく質に結合しており、末端にシアル酸が結合した形を取っています。シアル酸糖鎖はガン関連だけでなく非常に多く研究されており、最近ではこの糖鎖が肥満を抑えていることを理化学研究所が発表しています。

このようにα-2.6-シアル酸の糖鎖は生体内で様々な作用を示していることから、最も研究が盛んな糖鎖と言えるのかもしれません。今回研究グループは、α-2.6-シアル酸が欠損しているマウスと通常のマウスにそれぞれ腫瘍細胞を移植しました。

その結果、欠損しているマウスは腫瘍の成長が通常のマウスより遅くなりました。この糖鎖がないと、腫瘍内の血管部分の細胞に異常なシグナルが伝わり、細胞が死にやすくなることが分かりました。

研究グループは現在、この糖鎖を作用しないようにするための化合物を探索しています。新たな化合物が見つかれば、抗ガン剤として使われる「血管新生阻害剤」の開発につながると期待されています。血管新生阻害剤は既に使用されていますが、期待したほどの効果が得られないケースが多いようです。

ちなみに血管新生阻害剤としては、チロシンキナーゼ阻害剤などいろいろな低分子化合物が開発されています。これは腫瘍が増殖すると酸素や栄養が不足するため、新たな血管を作り出してそれを補おうとします。この血管新生を阻害すればがんの増殖を止められるという分子標的薬として期待されました。

しかし実際の臨床では、ガン細胞の増殖は阻止できるものの、ガン細胞を死滅させることはできないということが分かりました。これはメカニズム的には当然で、新しい血管が出来なくてももともとの血管を利用してガン本体は残ってしまうわけです。

そのため臨床現場では、この薬はキレが悪い、つまり大きくならないかもしれないが小さくもならないという評価になっているようです。

今回の研究成果は、異なった作用といえますが基本的には栄養分を抑えるのかもしれません。研究グループは、既存の薬で用いられている物とは異なるメカニズムであり、血管新生阻害剤として新しい効果が期待できるとしています。

なお今日はこれから昔からのギター仲間と山中湖の合宿に行きますので、明日の帰る時間によってはブログの更新ができないかもしれません。