ごっとさんのブログ

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「ピロリ菌=悪玉菌」は証明されたか?

2018-05-30 10:22:57 | 健康・医療
最近では人間ドックの胃カメラでもセットメニューのことが多く、ピロリ菌の検査と除菌はとても身近なものになってきました。

このブログでもピロリ菌の除菌を自治体で若者に推進しているという記事を紹介しています。私は基本的にはピロリ菌が本当に悪者かという疑問を持っています。私の知人でもピロリ菌の除菌をやったのに、最近胃ガンの前段階のようになり手術した人がいます。

今回はピロリ菌除菌にやや懐疑的な人の記事を紹介します。現在でもピロリ菌については、「胃ガンの99%はピロリ菌が原因」という主張と「ピロリ菌を除菌すると死亡率が上がる」という極端な意見が対立しているようです。

この記事の筆者はマイクロバイオームという、人間の体の表面や中(特に胃腸)やくぼみに住む何兆ものさまざまな種類の微生物の群集、腸内細菌や皮膚の常在菌などと関連した議論を展開しています。このマイクロバイオームは、人間一人分の総重量が1.5キロと脳と同じ重さ位持っているということでした。

ピロリ菌は1983年に発見され、その後さまざまな実験が行われ、胃潰瘍の原因の一つでありこれが悪性化して胃ガンとなるということが定説となっているようです。しかし人間のマイクロバイオームは複雑で、ピロリ菌だけをやっつけようとするといろいろ不都合が起きる可能性もあるようです。

例えばピロリ菌を持っている人ほど発症しない傾向のある病気も見つかっています。最も有名なものが、いわゆる胸焼け(胃食道逆流症)と胃酸で食堂が傷つくことによって起きる食道腺ガンです。ピロリ菌が胃に住みつくと胃酸が減少し、制酸剤を飲んだのと同じで胸やけが生じにくくなり、食道への刺激が減る防御効果と考えられています。

ピロリ菌は6万年以上昔から人間と共存してマイクロバイオームの一部となってきた細菌で、ピロリ菌と人間は共進化してきたとされています。

ピロリ菌の保有率は、全世界では50%とされていますが地域差は大きく、インドやラテンアメリカでは70%、その一方で先進国では低く20%を切ることもありますが、日本はやや高く40%程度とされています。

ただし最近では急激に減少しており、先進国の子供では保有率が5%以下という調査もあります。これは衛生状態が改善されたことと、風邪や下痢などに子供のころから抗生物質を服用することが原因とされています。

こういった劇的変化が、人間の体にどういう影響を与えるのかは全く分からないようです。そのヒントはやはりピロリ菌がいない人が発症しやすい傾向がある病気が存在します。先に述べた病気以外も潰瘍性大腸炎やクローン病のように、20世紀後半に増大した一種の現代病です。

これは人間の体を守るはずの免疫機構が自分自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種です。これをピロリ菌がいなくなってしまったためというのは、やや極論のような気がしますが、ピロリ菌の論争はまだまだ続きそうです。