ごっとさんのブログ

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遺伝子組み換え植物の進化

2018-05-27 10:31:52 | 自然
遺伝子組み換え植物(特に穀物)が開発されてから20年余りが過ぎています。

これだけの期間海外では食用としてきて、特に問題は起こっていないようですので、そろそろ日本でも遺伝子組み換え植物を認めても良いだろうと思っています。

遺伝子組み換え植物の代表は、害虫抵抗性農作物で、ヒトには安全で害虫にだけ毒性を示すタンパク質を、植物体内で合成するように遺伝子を組み替えた植物で、トウモロコシにおけるアワノメイガの被害の抑制に威力を発揮しています。

また除草剤耐性は、除草剤を効かなくするタンパク質を作物の体内で作らせる方法で、代表がダイズとなっています。現在では発展途上国での遺伝子組み換え作物の総栽培面積が先進国を上回り、除草剤耐性や害虫抵抗性の作物は、世界の生産者から支持されているようです。

この遺伝子組み換え技術は、食物以外の分野でも利用されており、医薬品の原材料に応用されています。まだほとんどが微生物の利用ですが、この場合培養施設が必要とか、菌体を除去し必要なタンパク質を精製する工程が必要となります。

そこで遺伝子組み換え植物に医薬品を作らせる研究が進んでいます。海外では当初、栽培法などの基礎がしっかりしているコメやトウモロコシを用いる研究が行われていましたが、野外の栽培では食用作物との交雑の可能性があるため、タバコなどの非食用植物を対象とする研究が増加しました。

日本では農研機構が「花粉症緩和米」の研究を進めており、2016年にはこの花粉米を使った臨床研究も行われています。

ここで紹介するのは、産業技術総合研究所が行っている、イチゴを使った動物用医薬品の実用化の研究です。2013年同研究所は他の研究機関と共同で、遺伝子組み換えイチゴの果実が原料のイヌ用歯肉炎軽減剤を開発しました。

これはイチゴの中に、イヌのインターフェロンα産生遺伝子を組み込んだもので、遺伝子組み換え植物そのものが有効成分となる、動物用医薬品の承認を得ています。この治療法はイチゴの粉末を水に溶いて、イヌの歯茎に3~4日間隔で5週間、合計10回塗りこむという簡単なものです。

この製品化においては、技術的な課題だけでなく、規制や国内外の状況なども含む広範な議論が行われ、極めて厳しい品質管理を可能にする手法が確立されました。まず植物を対象とすることで、低コスト化や生産拡大性、保存安定性のメリットを出しました。

次に植物体の生産を完全に人工環境下で行うため、人工環境制御型植物工場を新たに開発しました。またイチゴを使うことで、草丈が低く多段階式栽培を可能にしました。同研究所は、遺伝子組み換え植物による物質生産のための植物工場の展開に寄与したいとしています。