川や海など水をくむだけで、そこにどんな生き物が住んでいるのかわかる「環境DNA」の調査が進んでいるようです。
水中に含まれる糞などから、生き物の種類を突き止める手法で、生態系を調べるうえで重要な方法となってきているようです。もともと環境DNAとは、土壌や水中にいる微生物のDNAを意味する言葉でした。
これが発展してきたのはもう15年以上前ぐらいからDNAの増幅方法が進展し、ごくわずかでもDNAがあればそれを増幅させ、分離して配列を調べるということが可能になってきました。
本論から外れますが、この環境DNAから微生物学分野に大きな問題が提起されました。微生物の研究は多くの微生物の中から、目的とする微生物だけを分離するために、人工的な培地で増殖させ分離操作を行うところから始まります。
つまり微生物学は、この人工的な色々な養分の入った培地で増殖できる菌だけが対象にならざるを得なかったわけです。この環境DNAが進歩することによって、自然界に住むほぼすべての微生物を検出できるようになりました。
そこでこういった微生物のうちどの程度が従来の培地で培養できるかを調べたところ、なんと99%は培養できないことが分かったのです。つまり自然界の微生物を網羅していたはずの微生物学が、その中のほんの一部しか対象になっていないことが分かったわけです。
その後微生物学がどういう方向になったかを私は追跡していませんが、人工的に培養できる微生物から脱却するのは難しいような気がしています。
さて水中の環境DNAについては、2008年に欧州の研究チームが池の水からウシガエルのDNAを検出できたというのが始まりのようです。
これから環境DNAの調査が活発になり、2016年には神戸大学のチームが、国のレッドリストで絶滅危惧IAに指定されているゼニタナゴのDNAを検出し、その地点を基に生息地を絞り11年ぶりに成魚を確認することができました。
現在は約8000種の魚のDNAが登録されているデータベースも確立され、湖や川にどんな魚種が生息しているか、一斉に調べることができるようになりました。この調査ではその生物が生息しているかどうかは判定できても、正確な個体数まではわかりません。
しかしこの問題も解決できそうなプロジェクトも進んでおり、環境DNAの調査データから個体数を計測する実証試験も始まっているようです。またこれをより進化したDNAではなくRNAを調べていくという研究も始まっているようです。
こういった研究が進めば生き物の分布だけでなく、その行動や健康状態までくんだ水からわかるようになるのかもしれません。
水中に含まれる糞などから、生き物の種類を突き止める手法で、生態系を調べるうえで重要な方法となってきているようです。もともと環境DNAとは、土壌や水中にいる微生物のDNAを意味する言葉でした。
これが発展してきたのはもう15年以上前ぐらいからDNAの増幅方法が進展し、ごくわずかでもDNAがあればそれを増幅させ、分離して配列を調べるということが可能になってきました。
本論から外れますが、この環境DNAから微生物学分野に大きな問題が提起されました。微生物の研究は多くの微生物の中から、目的とする微生物だけを分離するために、人工的な培地で増殖させ分離操作を行うところから始まります。
つまり微生物学は、この人工的な色々な養分の入った培地で増殖できる菌だけが対象にならざるを得なかったわけです。この環境DNAが進歩することによって、自然界に住むほぼすべての微生物を検出できるようになりました。
そこでこういった微生物のうちどの程度が従来の培地で培養できるかを調べたところ、なんと99%は培養できないことが分かったのです。つまり自然界の微生物を網羅していたはずの微生物学が、その中のほんの一部しか対象になっていないことが分かったわけです。
その後微生物学がどういう方向になったかを私は追跡していませんが、人工的に培養できる微生物から脱却するのは難しいような気がしています。
さて水中の環境DNAについては、2008年に欧州の研究チームが池の水からウシガエルのDNAを検出できたというのが始まりのようです。
これから環境DNAの調査が活発になり、2016年には神戸大学のチームが、国のレッドリストで絶滅危惧IAに指定されているゼニタナゴのDNAを検出し、その地点を基に生息地を絞り11年ぶりに成魚を確認することができました。
現在は約8000種の魚のDNAが登録されているデータベースも確立され、湖や川にどんな魚種が生息しているか、一斉に調べることができるようになりました。この調査ではその生物が生息しているかどうかは判定できても、正確な個体数まではわかりません。
しかしこの問題も解決できそうなプロジェクトも進んでおり、環境DNAの調査データから個体数を計測する実証試験も始まっているようです。またこれをより進化したDNAではなくRNAを調べていくという研究も始まっているようです。
こういった研究が進めば生き物の分布だけでなく、その行動や健康状態までくんだ水からわかるようになるのかもしれません。