
盛岡出張。多くの現地の人に出会い・話し、自然の風景を見たオミヤゲを背負って、我が島への帰路を辿る。
気付かぬうちに、新幹線の席で、不覚にも眠りに堕ちていた。
終着駅・東京で起きれば、疲れが充満していた。
盛岡からはるか遠くの東京駅に降り立つと、途端に”べたっ”とした空気を肌に感じる。
温度は現地と東京ではほとんど変わらないが、山々を抜けてやってくる盛岡の風のさわやかさとは、明らかに湿気が異なる。
怪しい満月の下、雲がもっさもっさと動く13日の金曜日の夜。

去り難かった旅情を残しながらも、それでも東京に着くと、一方では安堵感がある不思議さ。
久方ぶりの肉体労働も伴って、
気を緩めるお酒や薬の力も借りる必要もなく、眠りに堕ちた。
ラジオ「たまむすび」の録音した放送に耳を傾けながら。
2014年6月14日 土曜日
8時過ぎ、鳥たちのざわめきに起きる。スズメたちの会話に混じって、ガァガァと時折カラスが鳴く。
外から室内に差す陽光のギラつき。
身を起こすと筋肉疲労と頭のクラクラ感。
やかんでお湯を沸かし、緑茶を煎れて一服着ける。
今日は静岡のお茶を頂く。
しばらくは、脳の中をたくさんのコトが巡り巡って整理つかぬ。
イーノの「鏡面界」を聴いて、体内速度の補正をしていく。

時間と共に、陽光がきつくなってきたので、ペットボトルに何本もお水を詰めて、せっせと植物たちの元に運ぶ。
今回の旅では、雨が降るだろうと、自動水やり装置を設置しなかった。
植物それぞれにお水を上げていくが、その間にも陽光はかなりのきつさで、肌に差し込んでくる、まるで夏の陽射し。

水やりを終えて、洗濯機をがらがらと回す。
今日は洗濯日和だから、外干しをしてみよう。
時が陽射しの角度を変えると共に、次第に心境も変わっていく。

こんなぎらぎらの陽光の中、木漏れ日のある場所で聴くには格好の1曲を聴きたくなり、CDを掛ける。
■Sade 「Love Is Stronger Than Pride」1988■
シャーデーがデビューした頃のヒット曲「スムース・オペレーター」に、にがにがしい想いをした記憶。
「一体、どこか良いのだろうか?」と、アフター・ニューウェイヴ時代の空虚時代の流れ。
そんな中、とある大学時代の夜。
灯りを消した自室、イスに座ってFM番組「ソニー・サウンド・ビジュアート」(ナビゲーター:鈴木雅之)を録音しながら聴いていた中、流れ出した彼女の「ラヴ・イズ・ストロンガー・ザン・プライド」。
この曲だけは、すぐに好きになった。
「移ろい行く季節のなかで」というテーマに沿った選曲だった。
その後、思いもしなかった大阪で暮らすことなった1991年。
日本橋で初めて購入した、マランツのCDプレイヤー。
プレイヤーの段ボール箱をひもでくくってもらい、重い荷物をえっさおっさと持ち帰る。
帰り道に初めて購入したCDは、スザンヌ・ヴェガの「Solitude Standing」。
そして、梅田の輸入CDショップで購入した2枚目のアルバムが、このシャーデー作品。
それまで無かった方向性の音楽を聴くようになった1枚でもある。



午後、また植物たちの手入れに行くと、ピーマンの赤ちゃんが育っているのを発見する。