国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

祝!Gho-story(ゴー・ストーリー) 発売記念

2014-05-26 21:10:20 | マジック
●吉田一平氏の「Gho-story(ゴー・ストーリー) 」が発売された。

 バーやらなんやらで小粋に演じるにはいいマジック。

 手順に組み込みやすい素材だし。

●ついでに没ネタやらなんやらを公開。

 何の没かは商品を買うとわかるよ。



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「プディングの味は食べてみなければわからないというでしょう」
 ちょっと、クダけた感じ、そう20世紀初頭のイタリア系アメリカ人みたいな感じの男は言った。
「丸山真男でしたっけ?」
 わたしは関心なさそうに答えた。なぜって。目に見えない世界について熱く語る人間に関心を示すなんてめんどくさかったから。
「たとえば、ここにライターがあるでしょ。目に見えるはず」
 そう言いながら彼は黒いライターを取り出し、火をつけた。
『愚かな、それはとても愚かな』より

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「そう、その通り。この町は閉鎖的だ。世界を狭く感じるよね」
 なにを当たり前のことを。この地方はよそ者を排除し、弱くなり残された廃墟のような町だ。
 進む以上に疲れるのは待つことだというけれど、取り残されるのも疲れる。
 疲れきった町だ。私は疲れて黙っていた。
「もし、ここに見えない世界があるとしたら、どう?」
 その男は何の変哲もないライターに火を灯した。
『ブエノスアイレス風ラーメン、お待ち』より

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「高村光太郎は彫刻家であり、詩人である。この両面性を乖離すべきものとするか、否か」
 ここ、20年は同じことをいっているのではないかと思わせる大学教授の話を聞き流しながら、孝雄は絵をノートに、皮肉にも大学ノートに書いていた。見えない世界を描こうとしていたのだ。ふと、視線に気づくと名前の知らない男と目が合った。男は共犯者を見つけたように笑うと、おもむろにライターを取り出し、火をつけた。見えない世界の入り口を示すかのような動作で。
(『博覧会めいた、ある晴れの日に』)

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一心不乱でライターに火をつけたことのある人は少ないだろう。タバコのついでに火をつけるなどといった具合で、「ついで」扱いであろう。しかし、僕はそのとき、かつてないほど真剣に火をつけた。見えない世界のためにね。
(『ゼリービーンズを探しに』より)

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●つまり、私が×××××××ーだったりして。




コメント
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