天気は良くないが、インフィニティ・プールで泳ぐ人はいる。湖にそのまま続いているかのように見えるこのスタイルはバワがはじめて出現させたものといわれている↓
本日、もともとの予定はスリランカを代表する世界遺産シギリア・ロックへ登る日。
だが、「見るだけでいいよ。そそりたつ岩山には登らなくていい。」という方もある。そういう方に、ただ待っていただくというのは芸がない。ゾウさんに乗ってお散歩していただくのに、ちょうどよいタイミングではあるまいか。
日本出発前からこのアイデアはあったので、現地に問い合わせをしてもらって、利用を知らせていた。
ところが、前々日の夜になって「ゾウが病気で…」と電話がかかってきた。
ううむ、それではこのカンダラマ・ホテルでもゾウさんライドはやっているから、こちらを利用してみよう。料金は一人三千ルピーと、スリランカとしては高いけれど、安心だ。
朝、シギリアに行く皆さんが乗ったバスを送り出して、ゾウに乗る四人と小松は案内人と共にホテル前の坂をぽちぽち下っていった。
すぐに、湖(人工湖)へ続く林の中の未舗装路を入る しばらく降りると、そこにモニカちゃんが我々を待っていた↓
野生動物は、たとえ馬でもはじめから人間を乗せてくれるわけではない。調教しても、人を乗せるのに向かいない馬もいる。
ゾウだって、「じゃ、のせてあげるよ」と、思ってくれる(人間にとって)性格の良いこのモニカちゃんのようなゾウさんだけが、安心して見ず知らずの観光客を乗せる仕事が出来るのだろう。
背中に大きな「桟敷席」をセットされるのを、おとなしく協力する姿がかわいい↓
「こぉんな大きな動物にどうやって乗るの?」と思うでしょ?ゾウ使いは裸足でひょいひょいっとよじ登るけれど、我々には出来ない。ちゃんと、こんな高い乗降用の台が用意されております↓
さらしを巻いて、化粧まわしを〆て、その上に六人まで乗れる「桟敷」をセットされる↓
我々はゆっくり乗りこんだ。
視界は、馬の背中よりもずっと高い。そして、馬の背中に比べてどっしりしている。五人の日本人がのっても微動だにしない安定感。
古代の戦争で、「ゾウは戦車」と形容された意味が分かる。この巨体を自由に操ることができれば、騎馬にも負けないだろう。
小松の目の前に突き出したモニカちゃんのアタマは、どこかハゲおやじ(自分)の薄くなった髪の毛を思わせる・・・↓
ゾウ使いの「んゲ!」というような合図で、モニカちゃんは歩き出す。
木々の間を進む時、背中の上の我々には枝に当たるのだが、モニカもゾウ使いもそんなことは気にしない。自分でなんとかするしかない。
ゾウ使いのおじさんは裸足。ぬかるんだ道を「いつものように」という感じで歩き出す。どんな足の裏をしているのだろう。
森を出ると、雨が強くあたりはじめた。ゾウの上の我々も傘を開く↓ モニカちゃんは気にしない。
湖のほとりで、視界が開ける↓(モニカ、道草食っちゃだめ!)
我々が二泊したヘリタンス・カンダラマ・ホテルの全景を、はじめて見ることができた↓
いや、実はこれでも全景ではない。
写真の右奥にはまだ「ダンブッラ・ウィング」と呼ばれる続きの棟があるのだ。
完成から三十年を経て、このホテルは建築家ジェフリー・バワが想定したように、森の中に飲み込まれようとしている↓
水音をたてて、モニカは湖に入ってゆく↓
★★これらの写真を撮ってくれたアシスタント氏による動画 ⇒こちらのyoutubeから見ていただけます。九分ごろに、ゾウ使いがモニカから降りる時、モニカが前足をあげてちゃんと助けているところ、是非、ごらんください(^^) ゾウって可愛くて頭イイ(^^)
我々はモニカの労をねぎらおうと、日本から持ってきていた剥き栗があったのを思い出した。ゾウ使い氏に先に味見してもらってOKをもらい、モニカにあげる。ふわふわ柔らかい鼻が、たぶん生れてはじめ食べるだろう栗を「ふんふん」と嗅ぐ。そして、にょーんと口にもっていった↓
モニカちゃん、ご苦労さま! 剥き栗、おいしかった?