踊る小児科医のblog

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鳥インフルエンザと新型インフルエンザ(前)

2007年02月01日 | こども・小児科
#鳥インフルエンザ騒ぎがまたしても過剰反応を引き起こしているようなので、勉強しなおしてポイントを確認し、何が重要で何が重要でないかをお伝えしたいと思います。(時間切れにて今日は前編)

新型インフルエンザはA, B, CのうちAウイルス
Aウイルスはヒト、哺乳動物、鳥類に広く分布
亜型 HA H1~H15
   NA N1~N9
カモは全ての亜型を保持している
ヒトと動物の全てのAウイルスはカモ由来

カモは感染しても発症しない(自然宿主)
カモの大腸で増殖、排泄
南方へ渡った後、シベリアなどの湖沼水で凍結保存
春に戻ってきたカモが再び感染

トリ由来のウイルスはヒト型との置換変異をおこさない限りヒトへは直接感染しない
ブタが中間宿主の役割を演じる
ブタはヒト型と鳥型の両タイプに感染可能で
 同時感染して遺伝子再集合が起こるとヒトの新型ウイルスが誕生

パンデミック 20世紀に3回
1 1918年 スペインインフルエンザ(H1N1)
2 1957年 アジアインフルエンザ(H2N2)
3 1968年 香港インフルエンザ(H3N2) カモ→アヒル→ブタ→ヒト

1997年香港 高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)から様相が一変
 鳥のウイルスのままヒトに感染、しかしヒト-ヒトへの伝播はなかった
 感染鳥との濃厚な接触によりきわめて低い頻度で鳥-ヒト感染が起こった
 生鳥のマーケットが異種鳥への感染と遺伝子再集合の場であることが明らかに

(喜田宏先生の総説より引用)