テールシチュー・・・牛の尻尾の肉を煮込んだシチューです。
またの名をオックス・テールシチュー・・・この方が分りやすいですね。
レシピにも書きましたが、尻尾の肉は「筋肉のかたまり」と言って良い
くらい・・・ですからちょっとやそっと煮たのでは柔らかくなりません。
香味野菜と一緒に、じっくりと時間をかけて煮込みます。
銀行在職中、取引先の食肉市場に、毎日集金に行っておりました。
ある日のこと、経理の女性の方から「タン・テールがセットで1000円、
良かったらわけてあげる」と言われて、一も二もなく飛びつきます。
タンは「タンシチュー」をつくり、テールは「テールシチュー」を作ります。
これが、はじめて「オックス・テールシチュー」を作ったきっかけでした。
皮むきした牛の尻尾は、長さが1メートル近くもあって、根元の太さは
直径25センチくらい、先っぽでも3センチもあるグロテスクなものでした。
何よりも驚いたのは「脂」の量でした。牛脂の部分をこそげとり中華鍋で
中火でじっくりと炒めて、牛脂「ヘット」炒りだしました。
そのとき炒りだした脂は、半端な量ではありませんでした。
脂を摂った「かす」は、その昔は「炒り出し」と言って、野菜などとの煮物
に使ったものでしたが、ヘットも炒り出しも、結局は捨ててしまいました。
ちなみに豚の脂を炒りだしたのが「ラード」です。
「ヘット」も「ラード」も、今は「コレステロールのかたまり」と、嫌われる
食材ですが、食糧難のころはカロリー不足を補う、貴重な食材でした。
尻尾を切るとき、買ったばかりの包丁を「だいなし」にしてしまいました。
刃物の産地三木市で買った、上等の包丁の刃をぼろぼろにしました。
関節の間に刃を入れると、容易に切れると知ったのは後年のことです。
その包丁は、欠けたところまで研いだので、身巾が3分の1減りましたが、
「あれから40年(綾小路きみまろ風です)」今も手もとで、健気に切れ味
良く働いてくれております。
牛の尻尾を煮込んだシチューです。尻尾はしょっちゅう振り動かしているので、肉は筋張って硬いです。
厚手の鍋でじっくり時間かけて煮込みます。圧力鍋は、肉の旨味が抜け出すような気がしてなりません。
材料
オックステール 2切れ 600g
下煮用
たまねぎ 中 1こ 300g 皮をとり縦4つに切る
にんじん 1/2本 皮つきのまま2cmの筒切り
パセリ 2本 30g
ローリエ 2枚
ブーケガルニ 1こ
水 720cc
煮込み用
たまねぎ 大2こ 700g 皮をとり縦6つに切る
にんじん 1本 180g 皮むきして3cmの乱切り
マシュルーム 1パック 100g 切らずにそのまま使う
にんにく 1かけ 10g 細かくきざむ
赤ワイン 500cc
デミグラスソース 400g
付け合せ用
じゃがいも 2こ 300g 皮むきして塩茹でする
アスパラガス 2本 80g 5cmに切って塩茹でする
作り方
テールを香味野菜とゆでる
テールと下煮用の野菜を、分量の水と一緒に鍋に入れ、
強火で茹で、沸騰したら弱火より少し強めの火で茹でる。
茹でる時間は30分くらい、圧力鍋を使うと早く茹であがる。
茹で汁は、煮込み用のスープに使うが、脂は取り除く。
冷蔵庫に一晩おき、表面の白く固った脂をすくい取ります。
煮込み始める
鍋にオイル大さじ1入れて中火にかけ、にんにくを炒める。
つづけて玉ねぎ、にんじん、マシュルームを加えて炒める。
全体にオイルがまわったら、赤ワインを入れ4~5分煮る。
ここでは弱火でアルコール分を飛ばします。
下煮でできたスープを加え、茹でたテールを入れて煮込む。
ここからは中火、途中から弱火にして、時間かけて煮込む。
時間は普通の鍋なら1時間、圧力鍋なら15分くらいでしょう。
デミグラスソースを加えて、更に1時間煮込む。
テール肉がほろリと、柔らかくなったらお皿に盛りつけます。