熊本熊的日常

日常生活についての雑記

犬も歩けば

2011年12月12日 | Weblog
今は職探しで出歩いても、仕事がいかに無いかということを聞かされるだけのことが殆どだ。まだ会ってくれるのはましなほうで、問い合わせのメールを出しても返事もよこさないことなど珍しくもない。今日は、珍しいほうの相手のところにお邪魔して、1時間ほど話をしてきた。その後、9月の倉敷での民藝学校でご一緒させていただいた方が経営しているギャラリーにお邪魔した。

そのギャラリーはSt. Ivesという名前で、その名を聞いただけでイギリスの陶器を扱っていることが想像できる。現在は「日英・15人の茶碗展」という企画を開催中だ。日本の作家の作品よりも英国の作品のほうが茶碗らしいのが面白い。茶道の本場は日本だが、本場であるがゆえに道具類の解釈や有り様に先鋭的なものが出てくるということなのかもしれない。変化という点では、楽茶碗では当代が新しいものを創造することが義務づけられているという。昨日今日始まったものならいざ知らず、何百年と続いているものの伝統を継承しつつ、それぞれの時代に新しいものを創り出さなければならないというのは並大抵ではないだろう。しかし、その並大抵ではないことを継続しなければ、伝統などはあっけなく途絶えてしまうものだ。どのようなことであれ、続けるということは容易なことではない。「継続は力なり」という言葉あるが、実は深いものがその背後にあるように思う。

さすがに茶碗を買う余裕はないのだが、ただ相手の商売の邪魔をするだけというのも申し訳ないので、「1994ミンゲイソタ」というDVDを買わせていただいた。帰ってから早速観たら、これがとても面白かった。バーナード・リーチの弟子で、ミネソタで陶器を作っているウォーレン・マッケンジーを取り上げたNHKの「日曜美術館」(1995年6月18日放送)を収録したものだ。日本の民藝運動に影響を受け、日用使いの陶器を制作し販売しているのだという。その思想と姿勢におおいに惹かれた。このDVDを買おうと思って出かけたのではなく、倉敷でご一緒させていただいたギャラリーの店主から、たまたま最近になって企画展の案内状を頂いたので、外出したついでにお邪魔したところ、このような見応えのあるDVDを手に入れることができたのである。こういう縁が面白いと思う。