陶芸は今日が年内最終日だった。先週挽いた壷がふたつあり、それらを削るのが今日の作業だ。ひとつは問題なく削り終えたのだが、もうひとつは穴を開けてしまった。壷は皿や碗とちがって、ひっくり返して削るとき、どの程度まで削れているか見ただけては肉厚がわからない。ただ、なんとなく質感とか鉋の当たり具合で厚さを感じる。その漠然とした感じを信じて削るのである。少しイレギュラーな形の面取りでは、先生ですら5つに1つくらいはお釈迦にしてしまうのだそうだ。今年の夏から壷を作り始め、いままでは削りで失敗したことはなかったのだが、ついにやってしまった。尤も、おっかなびっくり削って、削りが不十分なままにしてしまうよりは、失敗を恐れずに攻めるくらいのほうが上達するらしい。なにしろ今は修行中の身なので、失敗を恐れる理由がそもそも無いはずだ。それでも、作っているうちに欲が出て、なんとか上手くやってやろうなどという助平心が出てしまう。そうなると、たとえ技巧面で上手くできたとしても、全体の佇まいが卑小になるような気がする。心を虚しくして、目の前の土塊が自然に造形するのを助けるくらいのつもりで取り組むことができたら、きっと自分のなかの何かが大きく変わるのではないかと期待している。いつになったらそういう心持ちで土と向かい合うようになることができるのか知らないが、いつかはそうなりたいものだと思っている。