熊本熊的日常

日常生活についての雑記

メタボリズム

2011年12月14日 | Weblog
身投げの場所を探しているわけではない。就職活動のようなもので六本木ヒルズへやって来たので、ついでに森美術館を覗き、ビルの屋上にも上がってみたのである。平日の昼間で、しかも寒くて曇っているということもあり、屋上には監視員以外には誰もいなかった。ここから東京を見渡すと、よくもこれだけ建物を集めたものだと感心してしまう。たまたま森美術館では「メタボリズムの未来都市展」を開催中で、展示内容と眼前の風景が重なってしまう。よく、東京の街は海外の都市と比べると無秩序だというようなことが言われるが、景観というのは、そこに暮らす人々の美意識もさることながら、税制であるとか相続といった実際的な制度によって規定される部分が大きいのではないだろうか。つまり、景観というものを本気で考えようというのであれば、そういうことを立案する中心には建築家ではなく、財政家あるいは国家運営のコアとなる人々が中心になって考えるというのが現実に即したあり方だろう。逆に言えば、都市の景観にはその国の有り様が象徴されているということでもある。「日本は歴史上最も成功した社会主義国」ということも言われる。大きな屋敷や土地が空いた跡が、小分けされて、それこそ細胞分裂してそれ以前に比べて個性の減じたちまちまとした様子になってしまうのを眺めると、なるほどそういうことなのかもしれないと思う。