開催中のあいちトリエンナーレ(10月14日まで)の名古屋市以外唯一の会場である豊田市会場(豊田市美術館と豊田市駅周辺)の展示場を回ってきました。
この会場でも現代アート作家たちの力作に驚き、考えさせられました。
展示場の中央に、赤い光を放つ矢形のネオン管が立っていました。長崎に投下された原爆の爆心地に、1946年から48年まで立っていた矢形の標柱を表現した作品だそうです。
残っていた標柱の写真には「昭和二十年八月九日 地上五百米爆裂」などの文字がありますが、作者の調べでは建立者や写真の撮影者の名前、なぜ撤去されたか、なぜ矢形だったかなどは分からないとか。
作者は矢形の意味を考えるとともに、長崎と広島の平和公園との比較や平和を誓う各地の彫刻碑についての考察を展開しています。
駅の高架下を歩いていると、「発掘作業」でできた大きな穴に出会いました。
作品説明には「世界企業・トヨタの街なのに、市の中心部に見当たらないトヨタの広告を出現させることが創作の動機だった」とあり、スクリーンに親子連れらが発掘する様子が映し出されています。
作家はラーメン店跡だったという敷地に前もって穴を掘り、土器や陶器のかけらや木片、トヨタグッズなどを置いて埋め戻し、市民に発掘してもらったとか。
「わ~、変なのもが出てきたよ。発見!発見!」「これ、トヨタのマークみたい」喜び、はしゃぐ子どもたち。
すごいね、これは縄文時代のものかな。こちらは江戸時代だね。今のトヨタの芽がこんな昔からあったのだね、といった具合に相槌を打つ“考古学者”。
「こうして『遺跡としてのトヨタの広告』が発見された、と作者は締めくくっています。
結構楽しめる作品でした。
クリムト展とトリエンナーレが同時開催されている豊田市美術館は、大勢の観客でいっぱい。
ただ、ここでもトリエン作品の中には表現の自由をめぐり、作品の一部が撤去されたことに抗議する作家が本来の展示作品を変更した作品に出会いました。
壁面にずらりと展示された騒動を報じる新聞紙面を見ながら、表現の自由をめぐる問題の大きさと深さを改めて考えさせられました。
長崎原爆の爆心地にあったという矢形標柱の写真
「遺跡としてのトヨタの広告」の発掘現場と出てきたとしてのい発掘品の数々
展示場のひとつ。移築された旧料亭「喜楽亭」