水彩画教室の今回の取材先は、伊勢湾沿いの愛知県知多市にある知多木綿の郷・岡田地区。この日も猛暑日を思わす中、江戸期の情緒を秘める街並みを歩いてきました。
岡田地区では農家が古くから綿の栽培を手掛け、江戸初期には副収入を得るために木綿の製造にも乗り出しました。
織られた布は伊勢湾を挟んだ三重県の伊勢や松阪で漂白され、伊勢商人によって江戸へ送られ発展。最盛期には3000人もの女性が働き、生産量は全国のトップ争いをしたほどと言われています。
しかし、岡田地区に限らず繊維業界は化繊や海外からの輸入物に押されて大きく様変わり。岡田地区では現代にマッチした商品開発などで伝統を維持しているところです。
ちなみに名古屋の有松絞に使われる布は岡田の知多木綿だそうです。
街を歩くと、ナマコ壁の蔵やレンガ塀などレトロな建造物に出会います。
とりわけ淡い水色の局舎が印象的な知多岡田簡易郵便局は、明治35年(1902)の開局。働く女性たちが故郷への便りや仕送りなどに通っていたことでしょう。国の登録有形文化財(建造物)ですが、今なお現役の郵便局だそうです。
路地に面した軒下を季節の花で埋めた民家も少なくありません。昔懐かしい生活用具が残された庭も。
たとえば風呂の水汲みが当番だった少年のころの相棒だった手押しポンプ。古いモーターや農機具らしいもの、防火用の水槽もありました。
「手織りの里 木綿蔵:ちた」。
あいにく出かけた日は休館日とぶつかりましたが、覗き込んでいると中にいたご婦人たちから「まあ暑い中を。どうぞ、どうぞ」
何台もの織機が並び、色とりどり、形さまざまな衣服や帽子、財布、バックなどがいっぱい。オープンしている日は、自分だけの作品の手作り体験を楽しめるようです。
岡田地区にはもう一つ、素敵なところがありました。明日続きを掲載する予定です。