風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「伊勢型紙の保存・伝承者、六谷春樹さんの作品を拝見=名古屋で開催中の日展東海展」

2019-02-04 07:25:37 | アート・文化

名古屋の愛知県美術館で開催中(2月17日まで)の「改組 新 第5回日展東海展」に行ってきました。
会場いっぱいに日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の5部門の全国巡回246点と東海地方305点の計551点を展示。会期は2月17日まで。

例年通り各部門を回って、友人や出会ったことのある作家の作品を中心に鑑賞。中でも今回は、ブログで取材させてもらったことのある伝統工芸「伊勢型紙」の作家・六谷春樹さん(65歳・三重県鈴鹿市)に直接会って拝見してきました。

室町時代に和服の柄や紋様の染色型紙として生まれ、今では家具などの装飾にも用いられている伊勢型紙。江戸期に徳川御三家・紀州藩の飛び地領だった現在の鈴鹿市白子地区の主産業として奨励したことで全国に広まり、国の重要無形文化財国指定の伝統的工芸品になっています。


六谷さんはその保存・伝承者。鈴鹿市や名古屋で「六工房伊勢型紙教室」を開いています。一方で日展にも出品。今回で17回目の入選を果たしたそうです。
「教室での指導や商品として創作する場合と、日展出品作とは全く違います。日展作品には、考え方や思いも込めて創作に当たります。伝承者としては両方が大事だと思っています」と六谷さん。

今回の作品は「遠い街 ’18 ‘N」と題する作品。
会場を訪れた子どものころの同級生たちに囲まれながら「以前、エジプト展を見て以来、ずっと構想を温めてきた」「エジプトの文化や暮らしを表現しています」などと説明していました。

余談ですが、今回から一部の作品を除き会場内での写真撮影が「OK」になっています。欧米のように日本の美術館でも撮影OKが広がっていますが、日展の英断で拍車がかかりそうです。

同級生たちに作品を説明する六谷春樹さん


 


楽書き雑記「ロウバイは満開。しだれ梅も数輪を発見=名古屋市農業センター」

2019-02-03 07:29:47 | 日記・エッセイ・コラム

 

暖かく晴れ上がった2日午後、名古屋市農業センターへ出掛けるとロウバイは満開。センター自慢のしだれ梅園でも数輪の花を見かけました。

花木園に50株ほど植えられているロウバイ。
いずれも蜜蝋色の花が満開になって芳香を放ち、入園者らとともにカメラに収めてきました。

一方のしだれ梅。今年も2月23日(土)から「しだれ梅まつり」が予定されています。
園内を歩いてみると、蕾のほとんどは固いまま。でも、そんな中で数輪ですが花が開いた白と赤のしだれ梅を1本ずつ発見しました。

といっても、しだれ梅は今後の気温や降水量などで蕾の生育は大きく変化します。
昨年の開幕日は直前の厳しい冷え込みで、花数の少ない寂しい開幕でした。だから予断は許しませんが、今年は花が多めの開幕を期待できるのでは、と予感させてくれました。




楽書き雑記「浮世絵師・歌川広重は魚も描いていた=名古屋の三菱UFJ銀行貨幣資料館で広重の『魚づくし』展」)

2019-02-02 07:12:40 | アート・文化

東海道五拾三次で知られる浮世絵師・歌川広重が魚も描いていた!。
名古屋にある三菱UFJ銀行貨幣資料館で開催されている広重の復刻版画「魚(うお)づくし」展を見てきました。展覧会は2月24日(日)まで(月曜・祝日は休館)。入館無料です。

美人画や風景画を描き、ゴッホやモネらにも影響を与えたとされる歌川広重(1797-1858)ですが、花鳥画も描いたようです。
「魚づくし」はそのひとつ。出来栄えが優れているとされる版元の永寿堂と山庄(山田屋庄次郎)が扱った作品が、合わせて22枚展示されています。

タイやカツオ、カレイ、カナガシラ、サバ、トビウオ、アカウオ、それにクルマエビやアワビ、コイやアユなどさまさま。
うろこなどの表現がやや器械的な感じもしますが、鮮やかな色彩に加え、アサガオやユリ、ナス、ナンテンなどの植物が描き込まれていることで魚の生きいき感や季節感を高めているようです。

絵には狂歌も書き込まれています。これは狂歌師たちの注文を受けて描かれたからとみられているそうです。


会場では広重の「魚づくし」の他に、小林清親(1847-1915)の「東京名所図」展も催されています。
小林は写真や油彩画を学び「光線画法」という描法を編み出した画家。江戸情緒の残る東京を描いて「明治の広重」ともてはやされたそうです。

これは小林清親の作品「駿賀町雪」です