こちらは今日も概ね晴れの天気になりました。
随分、風が強くなっています。
その風が空気を洗ったのでしょうか・・
今見上げた空は、真っ青な空に白い雲がポカン、ポカン。
朝方は冷えましたが、まだまだ日中は動くと汗ばみます。
従って長袖からもう一度、着替える羽目に。
この季節、着る物に悩みますね。
さて、「A・クリスティーの館」
も本当に久し振り。
思わぬ時間がかかって
しまいましたが、
A・クリスティー作、
「フランクフルトへの乗客」、
読了。
そもそもこの本を読む
きっかけになったのは、
タイトルに、ある種の郷愁と
憧れを感じて。
しかも物語のプロローグが
フランクフルト空港で、
一人の謎の美女に出会い、
頼み事をされた・・
~という、何とも
ロマンティックな出来事で
始まったのですから。
ところがいつまで経っても、
お馴染みのポアロも、
大好きなミス・マープルも出て来ません。
そしてそれは、ミステリーと言うより、スパイ小説です。
読みながらも・・ “ミスったかな・・?”
~なんて思ったものですが・・。
一言で言えば、人生に退屈していた一人の外交官が
フランクフルト空港で巻き込まれた、国際的陰謀。
おまけに若者の革命戦争やハイジャック、
果てはヒトラー論まで出て来て。
当時の政治の世界を垣間見るというだけでなく、
過去の歴史、かと思えば今にも十分通じる政治の世界を見た気がして。
それにしても作品が書かれた時期が、
クリスティーが80歳、1970年(昭和45年)というから驚きます。
兎にも角にも物語は空港で始まり、空港で終わります。
読み終わった今になりますと、登場人物がやたら多くて
理解出来ない部分が多いですけれど。
私の文章もまとまりのないものになっています。
最後に。先の麻生発言でも話題になった、ヒトラーの事。
そのせいもあって、ヒトラーの記述が心に残りました。
それにしても・・まさか、クリスティーの小説で、
その演説がどういうものだったかを知る事になるなんて。
でも分かり易くて納得です。少しだけ記してみましょう。
教養のある大使館員の妻がヒトラーの演説を聞きに行きます。
彼女はドイツ語が良く分からないながらもいたく感動し、
彼の言った事、それ以外に物の考え方はなく、
人々が彼に従いすれば、全く新しい世界が出現する・・と思い。
ただ、素晴らしい演説でしたから、後になって
文章に書き留めようとするのですが、何も思い出せません。
よしんば断片的に思い出しても、文章にすると違った
意味のような気がするし、又、無意味にも感じると言うのです。
その事が彼女にとっては、どうにも不思議で仕方がない・・。
~といったような具合。
選挙の時、巷で言われていた 「風が吹く」 というのも、
程度の差こそあれ、ある意味、似たようなものかも知れませんね。
「世の中には他の人々に熱狂を、 ある種の生活と事件の幻を吹き込む 能力を持った人間がいる。 彼らは口に出す言葉や、我々が耳で聞く言葉や、 文字で書かれた思想に頼らなくとも、 そういう事をやってのける 力を持った人間がいる。 言葉や文字とは別のものがある。 それはごく少数の人間にしか 備わっていない磁力、 ある事を始動させ、一つの幻を 創り出す磁力のようなものだ。 おそらく彼らの人間的魅力、声の響き、 肉体からじかに発散するものが そうさせるのだろう。 (中略) これらの人々には力がある。 偉大な宗教上の師と言われる人が この力を持っていた。 そして邪悪な精神の力も又しかりだ」 (中略) 「ヤン・スマッツが言っている、 統率力は、偉大な創造力であると同時に、 悪魔的な力にもなりうる・・・と」 【A・クリスティー作 「フランクフルトへの乗客」】 |
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