だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

デイ=ルイスに流れる血

2008-04-03 22:05:14 | 映画
1957年4月29日ロンドン生まれのダニエル・デイ=ルイス。ご存知のように、父セシル・デイ=ルイスは王室の桂冠詩人。母は女優ジル・バルコン。主演スターになったのは「マイ・ビューティフル・ランドレット」(85)や「眺めのいい部屋」(86)あたりで、“英国美青年”ブームの真っ只中!

「アナザー・カントリー」(83)や「モーリス」「ひと月の夏」(87)など、夢中になったものです。デイ=ルイスは、その後「存在の耐えられない軽さ」(88)「マイ・レフトフット」(89)と、演技派を強烈に印象付けました。特に「マイ・レフトフット」では、アカデミー賞主演男優賞を見事受賞!

「父の祈りを」(93)「ギャング・オブ・ニューヨーク」(01)でも、主演男優賞にノミネート。そして2度目の主演男優賞を受賞したのが、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(07)です!『そこにブラッドがある』の意味は?と考えると、この映画に込められたものを追求したくなります。

20世紀初頭の1920年。一攫千金を夢見る、しがない鉱山労働者のダニエル・プレインヴュー(デイ=ルイス)は、石油採掘によって莫大な富と権力を得ます。更なる富を得ようとパートナーのフレッチャー(キアラン・ハインズ)と、幼い息子HW(ディロン・フリーシャー)を連れて、カリフォルニア州リトル・ポストンへ向かいます。

そこは、あるカリスマ牧師によって仕切られた不毛の地。神父のイーライ・サンデー(ポール・ダノ)は、“ヒーラー”と呼ばれる神憑りの男。やがてこの地も石油の発掘に成功するのですが…。この映画は西部を舞台にした、アメリカン・ドリーム物語ではありません。

アプトン・シンクレア著の『石油!』を原作に、ポール・トーマス・アンダーソン監督の描く一大叙事詩(上映時間2時間38分)なのです。タイトルの“ブラッド”に込められたのは、『血』 『血縁』 『気質』 『宗教』 『殺人』、そして『石油』…。いえいえ、観客の1人1人が感じ取るべきもの。

息子のHWさえ、実は石油発掘の手段。プレインヴューの生き方に嫌悪さえ、感じるかも。しかし、デイ=ルイスの演技は最高。プレインヴューの体に流れる血は石油のように黒くドロドロでも、デイ=ルイスに流れる血は役者の血です!若手ポール・ダノの方も、見惚れるかも。必見!
コメント (2)
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