夏休みに入ったので、
ウィークデイには行けなかった
目ぼしい食事処に数日、
ランチの試食に出かけていた。
きのうの店では、
店の名を冠した定食が
780円だったが、
そのボリュームがすごく、
タレカツ2枚、唐揚げ5ケ、
厚切りチャーシュー1枚に
おひつご飯…というものだった。
セルフサービスの
モヤシとキュウリの
キムチもあったので、
それもてんこ盛りにした。
子どもの拳大の唐揚げは
食べでがあり、しかも、
濃い目の下味がついてたので、
1ケやってみて、すぐさま、
(こりゃ、5ケはムリだわい…)
と悟った。
ドギーバッグを
もらえそうな店でもなかったので、
卓上のティッシュに3ケを包み、
リュックに入っていた
タオルにつつんで
「テイクアウト」にした。
おひつご飯は
毎晩炊いてるほどの
一合飯くらいだった。
昭和の人間は、
「ご飯を残す」というのを
もったいない精神で
どうしても出来ない。
なので、さすがに、
お握りにするわけにもいかず、
茶碗に山盛り二杯分なら
やれないこともないと覚悟を決めて、
小分けにすることをせず、
豪快におひつごと持って
直(じか)喰いを決め込んだ(笑)。
なんだか、
マンガチックな気分でもあり、
落語『阿武松(おうのまつ)』の
いちシーンをも彷彿させられた。
地方の貧しい百姓家から
口減らしのために
江戸の相撲部屋にやられた
長吉という若者が、
「三度の飯よりおまんまが好き」
というので、
飯を喰い過ぎるあまり
部屋の財政をひっ迫させ
破門される。
村の庄屋様の口利きで
入門したので、
故郷に帰るわけにもいかず、
わが身の行く末を悲観して
入水しようとしたが、
死ぬ前に好きなおまんまを
存分に喰ってから死のうと
なけなしの銭を握りしめて
旅籠に逗留する。
その時に登場するのが、
「おひつ飯」である。
いくつもの「お櫃(ひつ)」を平らげて、
その見事な喰いっぷりに惚れ込んだ
店の主人が、贔屓の相撲部屋に紹介し、
やがて精進して横綱に出世したという
実話の成功譚である。
この時のやりとりが面白く、
「ところで、お前さん、
いちどにどれほどの飯を喰ったら
満足するんだい?」
という旦那の問いに
「おらぁ…、生まれてこの方ぁ…、
腹いっぱい喰ったことがねぇんで、
どのくらいか、わかんねぇ…」
と言うから
豪快で笑えてしまう。
長吉が、おひつ飯を喰う様を見ての
旦那の描写も面白い。
「ほぉ~ッ!!
すごいもんたねぇ…。
まるで、おまんまの方から
ピューッと、
口に飛び込んでいくようだねぇ…」
…てなわけで、
そんな長吉の「おひつ喰い」を
思いながらの初試みだったが、
あんがいに
円盤餃子をやるような感覚で
無事に平らげることができた。
喰ったといっても、
茶碗に山盛り二杯分くらいだから、
丼飯二杯分喰ったのとは
わけが違う。
⁂
熱々のゲンコツ唐揚げ3ケを
リュックに背負ったまま
ブックオフに寄ったら、
プ~ンと鼻っ先(つぁき)に
その匂いが漂い、
辺りの人が睨まないかと
オドオドしてしまった(笑)。
梨木香歩の『家守奇譚』を
読了した。
百年前の京都の
山科あたりを舞台とした
売れない文士と自然界の精霊たちが
自然に交流するという
不思議な世界観であった。
2004年の
本屋大賞の3位になったらしく、
アマゾンのレヴューをのぞいてみたら
絶賛する声が多かった。
作者は59年生まれなので、
ほぼ同世代の
昭和30年代の人間であるから、
共感するものが多かった。
似たような世界観を描きながら、
読了しないまんま
書庫に眠っていた
『仮往生伝試文』を
再度ひっぱりだして、
今なら読めるかなと
続きを読み始めている。
この書は、
文芸評論家の福田和也が
『作家の値打ち』で、
村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』と
双璧の最高点をつけたもので、
注目して読みだしたが、
「古今」と「現世・冥界」の
時空が混交して、文章も固く、
読みにくくて中断してしまった。
『家守奇譚』も
古風な文体で書かれており、
時折、耳慣れないフレーズを
スマホで音声検索しながらだった。
勤務校のなかで唯一、
カウンセリング室にPCがあり、
有線ランのケーブルが来ているY中で、
無線Wi-Fiに変換して、
ソーちゃんの棋戦を
スマホで観ようと
簡易器を購入したものの、
なんらかのフィルターがかかっていて
「インターネットに接続できません」
メッセージが出てしまった。
家で試したら機能したので、
やはり、校内環境では
制限が設定されているようだ。
カウンセリング室のPCでは、
フェイスブックは開けるが、
YouTubeはブロックされている。
2000円ぐらいの
フラッシュメモリーほどの
小さな機器なので、
いつか、また、
どこかで使える場面が
あるやもしれないから、
新品のまま保管しておくよりない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます