ふだん野球は見ないが
甲子園の決勝に東北勢が進んだので
試合開始から観戦した。
東北勢は過去、6回決勝に進み
いずれも優勝を果たしていない。
記憶に残っているのは、
延長18回引き分けの死闘を演じた
三沢高校の太田投手、
いわき高校の小さな大投手・田村、
そして、東北高校のダルヴィッシュ。
今回は、なでしこジャパンのとき、
被災地日本へ神風が吹いて
ミラクルが起きたように、今度もまた、
神も被災地東北を哀れんで
初優勝校をもたらしてくれるのでは…
と期待をしていたが、
あにはからんや
一方的なワンサイドになるとは。
完膚なきまで打ちのめされた完敗だった。
日大は10年前に一度優勝している
監督を擁しており、
被災地側は若干日照時間も短く
雪による冬の練習時間も短い、
という7:3くらいのハンデが
あったかもしれない。
頼りになるデータは
投手の秋田が失点1という
好投をしていたことだった。
2回裏に、日大の内野ゴロが
一塁手の前でイレギュラーして
ヒットとなった。
光星側にはアンラッキーで、
それは、わずかながら
嫌な予感をもたらした。
そして、三塁手の送球が暴投した。
しかし、後続を断って
どうにか0点に抑えることができた。
県予選ではエラー0という
鉄壁の守備が、なんだか
バタバタして目に映った。
3回に、なでしこのエースと同名の
澤選手が初ヒットを打ち
ここから得点チャンスが来るのでは、
と期待を抱いたが、これが
牽制で塁殺された。
勝利の女神はチャンスを逸したことで
二度と微笑みかけることはなかった。
この回の守備で、バッターが入る前の
肩慣らしのキャッチボールで
キャッチャーがとんでもない所に
返球してピッチャーが取れず
苦笑いするシーンがあった。
これを見たとき、ナンダ?
と思った。
緊張しているのか、脱力しすぎているのか、
いずれにせよ、選手たちが
平常でないことがわかった。
アナウンサーは
「秋田投手はテンポよく投げていますね」
と見ていたが、
どこか落ち着きがなく、
間が早く感じられた。
事実、日大の吉永投手は
腰の据わった、じっくりとしたテンポで
丁寧に投球していた。
そしてデッドボールを出し、
ポテンヒットと続いて、
目の覚めるようなライナーの
センター返しのホームランを浴びた。
それでも、まだ3点差で
甲子園では勝敗が決する点差ではなかった。
しかし、その後、
セカンドが2回もエラーし、
ピッチャーもワイルドピッチがあった。
失策に次ぐ失策で、
まさに自滅のパターンだった。
5回、タイムリーヒットと思われ
唯一の本塁狙いは
ホームランを打ったライト高山の
好返球で刺された。
そして、7回の打者5人の
連続ヒット、ツーランホームランで
とどめを刺された。
0-11となり、エースは降板し、
セカンドも交代したが、
時すでに遅しで、逆転の望みは
断たれた。
エース吉永は、最後まで
リズムを崩さずに、落ち着いていた。
そして、4011校の頂点に立った。
大差がついたワンサイド・ゲームだったが
ある意味、ドラマチックであった。
なでしこのような奇跡は起こらなかったが
被災地の代表校が、決勝まで残ったのが
奇跡だったのかもしれない。
そして、彼らの健闘を
被災地の人間なら、誰もが
喝采するだろう。