写真は糍粑(ツーバ)と呼ばれるもち。雲南の各地でその土地のもの練り込んで作られる。真っ白なのは普通のもちだが、赤米を使ったり、現地でとれる青のり(川で採れる)を混ぜたり、ゴマを入れたりすることで様々なツーバが作られる。日本の草餅のようなもの。
(写真は景洪のシーサンパンナ集貿市場にて2005年2月撮影。)
【多様な甘酒】
最近、売られているのは、もち米由来の甘酒だけではありません。トウモロコシやアワ、キビなどの雑穀など20種類以上の甘酒が醸造され、北京、上海などの大都市にも販売店を設ける戦略を打ち立てているところもあります(雲曲坊甜白酒食品有限公司)
もともと『周礼』などの中国古代の書物(成立年は紀元前後は確実。様々な文書を集めて作られたので、かなり古い記述も含まれる)に出てくる酒も、米よりむしろ、アワ、キビから作られる酒の方が神に捧げる酒として主流を占めていますし(しかも絞らずドロドロの状態のまま。まさに甘酒だった)、
たとえば毛沢東が好んだ酒・マオタイ酒などはコウリャン(高梁)という雑穀から作られる蒸留酒、雲南でも農村で売られる酒はトウモロコシやソバから作られる方が多い事から考えても、ごく自然な成り行きといえるでしょう。
【甘酒のおやつ】
とはいえ、もっともポピュラーで昔から作られていたのはもち米をコウジで発酵させた甘酒。『雲南小喫』(梁玉虹著、雲南科技出版社、2003年)によると、以前から雲南で伝統的に造られていた甘酒を利用したお菓子も、それぞれの家では造られていたのだそう。栄養価もあって、ほんのり甘くて、おいしいとなれば、放ってはおけませんよね。
もともと雲南の甘酒は、プリンのように水分をふくんだお米が発酵して甘くよい香りがする、というものなので飲用品としてではなく、雲南の甘酒を丸めて練った「甘酒だんご(甜酒湯丸)」や「甘酒米麺(甜酒餌糸)」、「甘酒かりんとう(甘酒麻花)」など。甘酒を蒸かしたり、ゆがいたり、揚げたりしてできあがるものです。
考えてみるとパンは、パン種(イースト)を発酵させて膨らませます。大正時代に造られるパンはこのイーストがないので、日本酒で使う麹(コウジ)を使ってお米でつくるパンでした。今でも最近、人気復活の酒種あんぱんや温泉街の酒饅頭がこの系統です。
小麦粉にイーストでつくるパンよりもはモチっとしていて、イーストも天然酵母のものは少ない中、コウジはいわば天然酵母。発酵時間はドライイーストよりずっとかかりますし、品質にばらつきもでますが、米をコウジで発酵させてできる甘みと香りと旨みをそのままいただく米由来の生地と考えれば、雲南の甘酒お菓子は、じつにまっとうな調理法なのです。
ちなみに上記の本で作り方が紹介されていたのは
甜白酒煮糍粑
(糍粑:もち米を蒸かしてつぶし、油やゴマなどをいれて丸めたもの。日本のおはぎよりも密度が濃く丸められたり、切り餅のようなタイプになったものもある。広東や雲南、四川で広く作られている)
①糍粑を食べやすい大きさにちぎって蒸して軟らかくし、ゆるめの甘酒の中に入れる
②別の鍋に火をかけ、水、黒砂糖を入れて溶かし、シロップを作る。
③②を①にかけて出来上がり。
簡単だし、身体にもよさそうなおやつですね。日本でもお餅と市販の甘酒で作れば、あんこの代わりに甘酒でできたぜんざいのように繊細なおやつにできそうです。
(つづく)
※次週の更新はお休みします。季節の変わり目。新しい季節です。皆様、お身体を大切に。
※雲南の北、ミンヨン村から日本に留学に来ていた少女が、日本の男性と結婚しました! とてもさわやかなカップル。「大学を終えたら、村に帰って村をよくしたかったのですが、故郷が二つできてしまいました。これから時間配分がたいへんです」どこまでも誠実ですなおなペマさん。お幸せに!
(写真は景洪のシーサンパンナ集貿市場にて2005年2月撮影。)
【多様な甘酒】
最近、売られているのは、もち米由来の甘酒だけではありません。トウモロコシやアワ、キビなどの雑穀など20種類以上の甘酒が醸造され、北京、上海などの大都市にも販売店を設ける戦略を打ち立てているところもあります(雲曲坊甜白酒食品有限公司)
もともと『周礼』などの中国古代の書物(成立年は紀元前後は確実。様々な文書を集めて作られたので、かなり古い記述も含まれる)に出てくる酒も、米よりむしろ、アワ、キビから作られる酒の方が神に捧げる酒として主流を占めていますし(しかも絞らずドロドロの状態のまま。まさに甘酒だった)、
たとえば毛沢東が好んだ酒・マオタイ酒などはコウリャン(高梁)という雑穀から作られる蒸留酒、雲南でも農村で売られる酒はトウモロコシやソバから作られる方が多い事から考えても、ごく自然な成り行きといえるでしょう。
【甘酒のおやつ】
とはいえ、もっともポピュラーで昔から作られていたのはもち米をコウジで発酵させた甘酒。『雲南小喫』(梁玉虹著、雲南科技出版社、2003年)によると、以前から雲南で伝統的に造られていた甘酒を利用したお菓子も、それぞれの家では造られていたのだそう。栄養価もあって、ほんのり甘くて、おいしいとなれば、放ってはおけませんよね。
もともと雲南の甘酒は、プリンのように水分をふくんだお米が発酵して甘くよい香りがする、というものなので飲用品としてではなく、雲南の甘酒を丸めて練った「甘酒だんご(甜酒湯丸)」や「甘酒米麺(甜酒餌糸)」、「甘酒かりんとう(甘酒麻花)」など。甘酒を蒸かしたり、ゆがいたり、揚げたりしてできあがるものです。
考えてみるとパンは、パン種(イースト)を発酵させて膨らませます。大正時代に造られるパンはこのイーストがないので、日本酒で使う麹(コウジ)を使ってお米でつくるパンでした。今でも最近、人気復活の酒種あんぱんや温泉街の酒饅頭がこの系統です。
小麦粉にイーストでつくるパンよりもはモチっとしていて、イーストも天然酵母のものは少ない中、コウジはいわば天然酵母。発酵時間はドライイーストよりずっとかかりますし、品質にばらつきもでますが、米をコウジで発酵させてできる甘みと香りと旨みをそのままいただく米由来の生地と考えれば、雲南の甘酒お菓子は、じつにまっとうな調理法なのです。
ちなみに上記の本で作り方が紹介されていたのは
甜白酒煮糍粑
(糍粑:もち米を蒸かしてつぶし、油やゴマなどをいれて丸めたもの。日本のおはぎよりも密度が濃く丸められたり、切り餅のようなタイプになったものもある。広東や雲南、四川で広く作られている)
①糍粑を食べやすい大きさにちぎって蒸して軟らかくし、ゆるめの甘酒の中に入れる
②別の鍋に火をかけ、水、黒砂糖を入れて溶かし、シロップを作る。
③②を①にかけて出来上がり。
簡単だし、身体にもよさそうなおやつですね。日本でもお餅と市販の甘酒で作れば、あんこの代わりに甘酒でできたぜんざいのように繊細なおやつにできそうです。
(つづく)
※次週の更新はお休みします。季節の変わり目。新しい季節です。皆様、お身体を大切に。
※雲南の北、ミンヨン村から日本に留学に来ていた少女が、日本の男性と結婚しました! とてもさわやかなカップル。「大学を終えたら、村に帰って村をよくしたかったのですが、故郷が二つできてしまいました。これから時間配分がたいへんです」どこまでも誠実ですなおなペマさん。お幸せに!
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