写真はリスボン北東に位置するリスボア・オリエンテ駅。1998年のリスボン万博の開催に合わせて作られた。市内に乗り入れる地下鉄と長距離列車の拠点駅となっている。
【ポルト、19世紀末の香り】
昨夜、研究者ご一行と別れを済ませ、家族だけでリスボン郊外のオリエンテ駅から特急電車でポルトへ。10時9分の定刻に出発。トラブルなし。心楽しく車窓を眺めると、牧歌的な光景が絵巻物のように繰り広げられていきました。
湖、コルク、オリーブの林・・。やがて小さな工場地帯が見え、また畑。ブドウ畑やリュウゼツランの密生地(※)。その合間にヤギ、馬、牛、ニワトリ、コウノトリが見えて、やがてオレンジの木々が広がっていきました。ビニールハウスはその間、まったく見あたりませんでした。
12時50分、やはり定刻にポルトに到着。
ポルトの街並み。
街はオレンジ色の屋根を持つ城壁の建物が立ち並でいて、道行く人もなんだかおしゃれ。そんな中、かもめがクワックワックワッと高笑いしていて、へんな感じです。
まずタクシーで予約していた「グランド ホテル ドゥ パリ」に向かいました。ホテルは石畳の路に面していて、またもやロビーまで階段があります。振り返るとタクシーは過ぎ去り、フロントに女性が座っているのですが、客がいるとわかっても、がんこに見ないふり。
グランド・ホテル・ド・パリのフロント。
「すみません」と声をかけたものの、「おいで」と手招きされただけでコミュニケーションは終了。まあ、そうか、と荷物を自分で持ち上げてフロントで、チェックインしました。その後、部屋まで案内はされましたが、段差があっても自分で荷物を持ち上げ、エレベーターのドアも自分で閉めました。
同ホテルのエレベーター。
まさにエヴォラで経験した例のパターンです。この感じ、昔、どこかであったようなと記憶をたどると、1990年代初頭までの中国の国営ホテルや鉄道が思い当たりました。ポルトガルでは、ほんの少し宿泊費を落とすと、一気にサービスが変わるようです。
とはいえ、娘の趣味で選んだホテル。1877年創業のポルト最古のホテルなのだとか。説明書には19世紀にポルトで暮らしたエリート層のパリへの憧れを思わせる、とあるので、ホテルの中身を楽しもう。
部屋のドアを開けると昔の少女漫画に出てきそうなヨーロピアン。ふわりとしたカーテンに、おしゃれな木製のベッド。装飾タイルに彩られた水回り。美しい包装紙で包まれたポルトガル石鹸や厚手のタオルなど、ファブリックは、いかにもポルトガル、という風情で充実していました。
部屋の外も美しくカーブした木製の手すりにおしゃれな絨毯。ランプのような照明。居心地はよかったです。
部屋部屋を結ぶ通路。設計がおしゃれ。
これが19世紀の香りなのか。
※リュウゼツランはテキーラの原料になるので、ポルトガルでも作られているのかと思って調べたら、ポルトガル国土の侵入していた外来植物として駆除の対象となっていました。つまり大きな雑草でした。https://www.invasoras.pt/pt/planta-invasora/agave-americana
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