写真はリバティ百貨店(LIBERTY)の正面玄関。建物は、1924年に建てられた当時のものを使用しており、イギリスの第2種重要建造物に指定されている。
【目抜き通りのリバティ百貨店へ】
さてリージェンツパークをポートランドプレイス側から出ると、すぐロンドンの有名なショッピング街・リージェントストリートに入ります。ぶらぶら20分ほど歩くと、人通りの多い街の中心、という場所にたどり着きます。そこでひときわ目を引く雰囲気のある建物が「リバティ(Libaty)」です。
ここは、前にロンドンに来た時に買ったときの印象がよかった百貨店でした。当時、地下へ続くなめらかな木製の階段を降りると、昼だというのもオレンジ色の間接照明が異世界へといざなってくれました。そこにはつば広で縁がやや下降したレモン色の固めに編まれた麦わら帽子が売られていて、最後の旅の思い出に自分のために買ったのです。
かぶるとマイフェアレディのオードリー・ヘプバーンにでもなった気分が味わえて、とても優雅でした。とっても大事にしていたのに、残念なことに帰国後、わりとすぐに電車に置き忘れてしまい、悔しい思いがずっと続いていました。その後、似たような帽子は私の手の届く範囲ではお目にかかることはありませんでした。他に父へのシルクのネクタイや母へのシルクのスカーフを買ったのもここでした。(こちらも残念ながら両親には雑に扱われ、どこに行ったことやら。)
今回は、それらに会いたい、できれば買いたい、と熱い思いがたぎっていました。
もちろん、リバティ柄のファブリックにも興味がありました。
ところが、行ってみると、モードはすっかり変わっていて、当時売られていた品物はなし。冷静に考えれば日本の百貨店だって30年前のものを売っていることはまれなのですから、当たり前。
代わりにイッセイミヤケのプリーツプリーツがアート作品のように飾られていました。もちろん売り物です。日本ならハンガーにたくさん掛けられて色味がわかる程度なのに、ここでは一点一点、空間を贅沢に使って、マホガニーの天井から吊るし、マネキンなしで勝負する贅沢さ。ここに限らず、ヨーロッパではユーズド店でもプリーツプリーツは元値以上の値段で売られ、大切にされていました。
でも、それらは私の求めているものではない。日本で買えます。以前みた、リバティ、ぽいもの、ロンドンぽいものは、どこにいってしまったのでしょう?
がっかりはしたものの、これまたよく考えれば、リバティ社は1875年の創業時より東洋、とくに日本のものの販売を旨としていたので、これこそ王道回帰なのです。しかも、この店がイギリス・ヴィクトリア時代にヨーロッパ全体のジャポニスムをけん引していたそうなので、日本のデザイナーズブランドを取り扱うのは当然なのです。
(つづく)
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