写真左はおぼろ豆腐を網竹と粗布の上にならしているところ。工員さんは慎重な手つきで、きっちり長方形にならしていく。
写真右は、石屏豆腐を固く仕上げるために、押し固める圧搾機。重石と木を積み重ねた上、テコの原理でぎゅっと押し固めていた。
【石屏豆腐の作り方②・圧力を加える】
次に、竹で編んだ横1.2メートル、縦40セントほどの板状のものの上に白い粗布を広げて、その上にアルミ製のボウルですくいとったアツアツのおぼろ豆腐を、ゆっくりと均し入れる。そして、形が崩れないうちにすばやく粗布を板の形に合わせて長方形に包み込む。
この板を9枚程度、重ねて(圧搾機で)ぐっと重しをかけて、水分を徐々に押し出す。こうして網竹の模様のついた厚さ1センチ強の真っ白な石屏豆腐の形が出来上がる、というわけだ。
あとは板に豆腐をへばり付けたまま、半日、干し、さらに粗布から取り出した豆腐をお姫様でも扱うように丁寧に9枚ごとに棚に重ね置いて日陰干しし、最後に、握り拳くらいの幅に、包丁で切りそろえていく。
こうして朝、作りはじめたものが夕には出来上がり、近所の人から、専門業者までがリヤカーを引き引き、買いに来るのであった。
【炒めたり、焼いたり】
この豆腐は、日持ちがよく、石屏豆腐が大好き、という昆明出身の女性から
「その日に食べることもあるけど、2,3日後に炒め物に入れることもあるよ。数日、冷蔵庫に入れておくと、パンパンにふくれるけど、それもまた、料理するとおいしいのよ。」と、聞いたことがある。
実際彼女の作った季節の野菜と石屏豆腐の炒め物は、独特のクセが、昆明の人々の人気を呼んでいた。
また石屏豆腐を串刺しにして炭火で焼いたものも、石屏の町はもちろんのこと昆明の街角でも(とくに冬場に)人気が高い。独特の香りが人を呼び、ビールにも合うのだ。
日持ちをよくするために塩漬けにしたり、何らかの発酵を促したりするような工程はとくには見あたらない。日持ちと味の秘密は、一にも二にも、十分な圧搾と石屏の井戸水にあるとしか思えない。
石屏豆腐の製作工場は「北門」以外にも、付近に数店あった。それぞれに虎の子の井戸を持ち、不思議なことに味も少しずつ違う。
石屏の井戸水、恐るべし!
だが、地元で一番人気は「北門」。ここが、おいしい理由は、水だけではないないだろう。工場で働く若者は真剣な顔つきで仕事に取り組み、年かさの社長は、いつも若者に対して自分も作業しながら、常に笑顔で接して、工場の雰囲気を和らげている。この健全な、あうんの呼吸が、「誠実、スマイル0円」とでも言いたくなるようなプラスアルファの味を引き出しているに違いない。
上の写真は、日陰においた石屏豆腐を規定の大きさに切り分けているところ。これが済むと、リヤカーで受け取りに来た小売り業者が次々と引き取って、市場などへと向かう。
(石屏豆腐の項・終わり)
*週末更新が夏ばてのため、遅れました。夏は年を追うごとに厳しくなってますね。毎週、見てくださっている方々、ご心配くださった方、ありがとうございます。
8月中旬にはなんとか豆腐の項を終わらせたい、と思っています。お付き合いください。
さて、8月15日から8月30日までは私は久々に雲南等にまいりますので、更新はお休みさせていただきます。いろいろ見てきますね。ええ? まだ続くの?と思わずに、お読みいただければ、と思います。
ある考古学の報告書を見ていたら、その水道(みずみち)は元の時代に建設されて以来、現代まで大活躍、と。おもしろそうだなあ、と思っています。
でも、うまくいくかどうかは行ってみないとわからないです。
ところで、水路がつながっているか、いないかというのは、当然ばっちりつながっているのではないでしょうか・・・それをさらに確認されるのですね。さすがです。
ただ格安には、いろいろ「安くない」ことも多いのも肌でよーーく知っています。あまりにも早朝便すぎて、公共の交通機関では成田付近に宿をとらないと行けない時間帯だったり、もともと無理な機体のやりくり時間帯のため、半日、遅れるぐらいは常識のうち、などなど。
まあ、何ごともなく、飛行機が目的地に着くこと自体が、私の場合、とてつもなく少ないので、本当のところはよくわかりません・・。