写真はカルモナからセビリア行バスの車窓から。どこまでも右も左もオリーブ畑だった。(木々の高さは日本の梨畑ほどの高さ。オリーブの実を収穫しやすくするためだろう。雲南南部でもオリーブオイルを絞るためにオリーブ畑があったが、木々はどれも背が高く、実を採るような樹高ではなかったことを思い出した。)
今回はちょっと、気味の悪い話です(おいやな方は読み飛ばしてください)
【すいた路線バスのキョーフ】
そうこうしているうちにセビリア行のバスがやってきました。ルートは祝日のためなのか、行きとは別の道でした。時間は1時間45分。往路の倍近くかかったわけです。ただ、それだけに違う景色も楽しめました。オリーブ畑を抜け、小さな搾油工場も通りました。
さて、道幅が広くなり、人通りがあるアパート群が見えたころ、わかりやすくあやしげな男が乗ってきました。白いセーターを肌の上に直接、着て、赤いジャンバーを羽織ったゴアゴア頭のニヤニヤ顔。スリができる人を物色しているかのような風情で歩いてくるかんじです。乗っているのは我々家族と、あと数人。
すると、なんと、私のすぐ後ろの席に座りました。私の風情が舐められたのでしょうか? しばらくすると、並び2席の間から、手が伸びてきたのです。ぎょっとして荷物をしっかりと膝の上に置き、恐れおののきつつも後ろを振り返ると、前傾姿勢で私の髪をひっぱっていたのです、2度!
私が騒がずにホールドすると、今度は娘の席のほうに近づいていきます。私がにらんで膠着状態に陥ったそのとき、地元の、若い、極端にふっくらした女性が新たにバスに乗り込んできて、その男と親し気に会話をかわし、緊張緩和。そして、二人はともに下車。それで試合終了となりました。
男の人が鼻をほじりながら会話していたのが気になりました。あの手で、私の髪を、と思うとゲンナリです。
あとで娘と家人に話すと、まるで気づかなかった、とのこと。シューベルトの「魔王」は起きるのです。古今東西、怪しい気配は見込まれた人にしかわからないものがあるらしい。
こうしてセビリアに到着。祝日の人の少ないバスは要注意です。
(つづく)
※次回はセビリアの迷路の話です。
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