とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

神話と信仰の霊山「戸隠山」登山 (前編)

2009-10-05 23:16:15 | 山登り
昨日の日曜日は全国的に天気が良かったらしい。ずっと前からこの日に「戸隠山」登山を計画していたのが大ヒットだった。平安時代から山岳信仰の対象となり、やがて修験道の一大霊場となったこの山は、危険な山として登山者の中では知られている。ガイドブック等を見ても、ビギナーのみの山行は避け、上級者と行動を共にすること。風の強いときや雨の日は避けるべきであると書かれている。また、行ったことのある人たちの話を聞くと、「もう二度と行きたくない」とか「恐ろしかった」とか不安を煽る話しか聞いたことがなく、行くことを決めるまでには時間がかかった。しかし、逆にそんな山だからこそ行ってみたいという怖いもの見たさの好奇心が勝り、ついに行くことを決めた。幸い、同行してくれる仲間も集まり、最高の気象条件の中、登山口で朝を迎えた。


スタートは、戸隠牧場入口前からとした。以前、高妻山登山をしたときと同じ場所である。ここからは、戸隠キャンプ場の間を抜け「ささやきの小径」を歩く。この道は、高木、亜高木、低木、草木の4階建ての森林となっている。高低差はなく、歩きやすい道である。朝日の木漏れ日の中、まずは足慣らしがてら森林浴気分で1時間弱歩く。

やがて、藁葺き屋根の赤い大きな「隋神門」に着いた。

ここから、真っ直ぐに奥社まで、樹齢400年を超えるという立派な杉並木が続く。

戸隠神社はパワースポットとしても有名らしく、神聖で荘厳な雰囲気を感じた。やがて奥社が見えてきて、左に道をとれば登山口となる。

やはり、戸隠山に登る以上、神社にお参りしていかない訳にいかない。戸隠神社奥社の祭神は天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)で、由緒は、日本神話にある天照大神が天の岩屋にお隠れになった時、無双の神力をもって、天の岩戸をお開きになった天手力雄命を戸隠山の麓に奉斎した事に始まると言われている。まずは、奥社で安全登山を祈願してから登山口に向かうことにした。

奥社裏手からの登山道は、急な登りで始まる。今までのんびり歩いてきた道とは打って変わり、噂に違わずキツイ登りとなった。最初から両手で這い上がるような道の連続で息が上がる。時折、木々の間から荒々しい戸隠連峰の山並みが顔をのぞかせる。あそこを登るかと思うと緊張が走る。しかし、空は青く紅葉が始まった山肌が見事である。急な尾根のぼりが続き、最初のクサリ場を過ぎると、かつて修験者が修行したという五十間長屋という岩窟に着く。

ここで少し小休止をして更に進むと、百間長屋だ。


こちらも修験者が修行した岩窟であり、五十間長屋より長さがある。このあたりも紅葉が進んでおり見事な眺めだった。


修験道の雰囲気を味わいながら進むと、その先でビデオを撮っている登山者たちがいた。ビデオの先を見ると10mくらい上に岩窟があり登山者が顔を出していた。そこは西窟と呼ばれ、そこも修験者が修行をした場所らしい。そこに行くには、垂れ下がったクサリをよじ登っていくしかない。垂直に切り立った岩肌を腕力で這い上がるしかない。しばらくすると、男性2人が下りてきた。これを見て、俄然そこに行きたくなった。今回我々のパーティには勇気ある女性が二人も来ていた。男性でもしり込みしそうな岩壁を二人ともするすると這い上がっていった。



私も負けじと、クサリに取り付き這い上がる。90度の岩壁なので、クサリを離したら完全にアウトだ。慎重に足場を固め、上にある祠まで這い上がった。祠からの景色は絶景である。下界の森林や池がよく見えた。

しかし、足元を見ると絶壁だ。

しばし景色を堪能して、下りることにした。下りも慎重かつ、すばやく下りる。クサリが地面に届いていないので、クサリの先端からは手を離し飛び降りた。これが戸隠山の小手調べであるが、この岩登りでかなりの体力を消耗した。

このあとも、10m、20m、30m等のクサリ場がいくつも連続する。

滑りやすく泥まじり岩場なので慎重にすすむ。

この時ばかりは、背中の荷物が重く感じられ、何度も休憩せずにはいられなかった。その後も天狗の露地、見返りの岩、胸突き岩等の難所を過ぎ、いよいよこのコースの核心部であり、最大の難所の蟻の門渡りの手前まで来た。ここから見た、戸隠連峰の紅葉は素晴らしい。


蟻の門渡りの様子は長くなるので、後編に回すことにする。ちなみに、このコースの核心部ルート図を下記に掲載しておく。