とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

武士道についてのお話

2009-10-23 23:42:39 | 社会人大学
10回目の社会人大学は、「伝統文化と現代 -武士道の問題を中心に-」と題して、京大卒、現国際日本文化研究センター教授の笠谷和比古(かさや・かずひこ)氏の講演であった。著書は「武士道と日本型能力主義」(新潮社)「武士道と現代」(扶桑社)「武士道  その名誉の掟」(教育出版)など多数。

笠谷氏は武士道の研究を長く続けており、専門は歴史学=武家社会論。その武士道を現代の個人や企業組織などにどう生かすべきかを深く解明している人である。今回は武士道の今日的意味について、日本社会における個人のあり方と武士社会における組織能力の観点からの話であった。

全体的には、興味深い話も多く頷ける話も結構あったが、難しい話もあり少し眠たくもなった。そのなかでも特に印象に残ったのは、今何故武士道なのかという話だった。日本の武士のあり方や生き方に見られる潔く強い個性を備えた自立した人格への憧憬。まさに自然体での生き方。自己に誇りを持って生き、志を高くかかげて正々堂々と行動し、善悪をわきまえ恥を知ってけじめと責任に背をむけず、たとえ一人になっても困難な状況に立ち向かっていくサムライの精神と行動が、今の日本社会に求められているというのだ。

子供たちの世界ではいじめが横行している。これは目立つものを排除するという論理に立って行われている。だが、本来目立つ者が排除されるようでは、社会の発展はありえない。このような人間が増えていけば、日本の将来はないとも言う。子供たちの中では、憧れのヒーローは、マリナーズのイチローだという。まさに一人でメジャーに挑戦し突出した目立つ人間である。このような人に憧れるのに、身近では目立つ人間を排除する行為に走ってしまうのは何故なのか。これが現代日本社会の抱える問題なのかもしれない。