(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
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1.はじめに
OPEC(石油輸出国機構)は8日、インドネシアからOPECの正式メンバーへの復帰を求める要請を受けたとするプレスリリースを発表した 。要請は検討のため全加盟国に回付されるとともに、来る12月4日に予定されているOPEC総会にSudiman Saidインドネシア石油鉱物資源相が招へいされることになった。復帰は確実であり、これにより現在12カ国のOPEC加盟国は13か国になる。
*現在のOPEC加盟国(アルファベット順):
アルジェリア、アンゴラ、エクアドル、イラン、イラク、クウェイト、リビア、ナイジェリア、カタール、サウディアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)およびベネズエラ。
インドネシアはOPEC創設(1960年)の2年後の1962年に加盟した。しかし2009年1月にメンバーとしての活動を停止している。正式な脱退通知ではなくactive memberの資格を一時停止(suspend)する形であったため、今回は活動の再開(reactive)と言う表現を用いているが、本稿ではそれぞれ「脱退」あるいは「再加盟」と呼ぶこととする。
2009年の脱退の理由は後に詳しく触れるとおり2000年代前半にインドネシアが石油の輸出国から輸入国に転落したことにある。OPECが石油の輸出国カルテルであることを考えるとこえは当然の帰結であった。同国は現在も石油の輸入国であり、しかも生産が減退する一方、消費は急激に伸びており、需給ギャップはOPEC脱退当時よりむしろ拡大している。
12月のOPEC総会で同国の再加盟が満場一致で承認されるのはほぼ間違いない。石油輸入国であるインドネシアが何故OPECのメンバーになるのか不可思議としか言いようがないが、今回の動きはインドネシアとOPEC双方の利害が一致したからであろう。本稿ではまず1960年代以降のインドネシアの石油生産と消費の推移を検証し、次いで今回の動きに関する同国とOPECの意図を推察してみたい。
(続く)
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