石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

五大国際石油企業2017年度業績速報シリーズ(10)

2018-03-13 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0435OilMajor2017.pdf

 

 

III. 2016年と2017年の5社業績比較 (続き)

2.損益

(1)総合損益

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-11.pdf 参照)

2017年の利益を前年の2016年と比較すると各社ともに高い利益を計上、特にBP及びChevronが前年の水面すれすれもしくは欠損から大幅に改善し利益を計上した他ExxonMobil及びShellは100億ドル以上、前年の3倍に近い高い利益を出している。

 

2017年に5社で最も利益が多かったのはExxonMobilの197億ドルであり、前年78億ドルの2.5倍である。同社に次いで利益が高いのはShellの130億ドルでこの二社が利益100億ドルを超えている。Shellの場合は前年の46億ドルから3倍近く急増している。BPは5社の中では2017年の利益は最も少ないが前年の利益が1億ドルに過ぎなかったことに比べると大幅に改善している。Totalは2016年の利益62億ドルに対して2017年は86億ドルの利益を計上、堅実な業績を続けている。Chevronは前年が5億ドルの欠損であったが、今回は利益92億ドルに急回復している。

 

(2)上流部門と下流部門の損益比較

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-13.pdf 及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-14.pdf参照)

各社の利益を上流部門(生産)と下流部門(精製)に分けてみると各社とも上流部門の回復が目覚ましく、下流部門もTotalを除きいずれも前年を上回る利益を計上している。

 

上流部門を見ると、2016年はShell及びChevronがマイナスであり、ExxonMobil及びBPの利益額もわずかであり、Totalのみが36億ドルの利益を出していた。しかし2017年はExxonMobilが134億ドルの大幅な利益を計上したほか、Chevron 82億ドル、Total 60億ドル、BP52億ドルとそれぞれ堅実な利益を計上している(Shell の利益は16億ドル)。

 

 次いで下流部門を見ると、Shellは前年の66億ドルを17億ドル上回る83億ドルの利益を計上、BP、ExxonMobilの2社も72億ドル及び56億ドルといずれも前年を3割以上上回る増益であった。Chevronは5社の中で増益率が最も高く、前年比1.5倍の52億ドルの利益であった。

 

(注) 最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているなど各社によって異なるため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない

 

3.設備投資

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-15.pdf 参照)

 2016年と2017年の5社の設備投資は対前年比で増加したのはExxonMobil1社だけで、他の4社は減少している。ExxonMobilの投資額は193億ドル(2016年)→231億ドル(20%増)である。Shell(221億ドル→208億ドル)、BP(167億ドル→166億ドル)はほぼ前年並みであるが、Chevronは16%減(224億ドル→188億ドル)であり、Totalは5社の中で最も大きな減少幅であった(178億ドル→116億ドル)。

 

(続く)

 

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        前田 高行

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