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http://mylibrary.maeda1.jp/0546ImfWeoOct2021.pdf
(今年は下方修正、来年は上方修正の米中日!)
2.前回(2021年4月)と今回(2021年10月)の比較
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1)世界および主要経済圏の比較
上述のとおり今回(WEO2021Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2021年)が5.9%、来年(2022年)は4.9%である。これに対して前回(WEO2021April)の見通しでは両年の成長率はそれぞれ6.0%、4.4%であり、本年は▲0.1%下方修正され、来年は0.5%上方修正されている。今回、コロナ禍の影響が長引き本格的な景気回復が来年にずれ込むと予測したためである。
2021年の見通しについて主要経済圏を前回と比較すると、G7は前回の5.4%から今回は5.3%に下がっている。その他の経済圏についてもEU(4.4%→5.1%)、ASEAN-5(4.9%→2.9%)は下方修正されている。一方、中東・中央アジア(3.7%→4.1%)は上方に修正されている。この地域は産油・ガス国が多く、エネルギー需要が一足早く回復したことを反映していると考えられる。
また来年(2022年)のGDP成長率の見通しについて前回と今回を比較すると、全世界の成長率は前回の4.4%から4.9%に上方修正されている。主要経済圏ではG7(3.6%→4.7%)、EU(3.9%→4.4%)は成長率がアップしているが、ASEAN-5は6.1%→5.8%に減退している。ASEAN-5は今年の成長率も4月見通しからダウンしており、コロナ禍に加え経済の回復の遅れが影響しているようである。
(2)主要国の比較
今年の成長率についてインドは12.5%から9.5%と大幅に下方修正されている。その他多くの国も日本(3.3%→2.4%)、ドイツ(3.6%→3.1%)、米国(6.4%→6.0%)、中国(8.4%→8.0%)などが下方修正されている。このような中で今年の成長率が4月見通しを上回ると予測されているのは、英国(5.3%→6.8%)、ロシア(3.8%→4.7%)、韓国(3.6%→4.3%)の各国である。
また中東の主要国の今年の成長率の見直しは以下のとおりであるが、上方修正と下方修正が混在している。
サウジアラビア(2.9%→2.8%)、トルコ(6.0%→9.0%)、UAE(3.1%→2.2%)、イラン(2.5%→2.5%)、イスラエル(5.0%→7.1%)、エジプト(2.5%→3.3%)、イラク(1.1%→3.6%)
2022年の成長率予測は強弱入り乱れており、上方修正されたのはインド(6.9%→8.5%)、ドイツ(3.4%→4.6%)、日本(2.5%→3.2%)などの各国である。一方下方修正されたのはロシア(3.8%→2.9%)である。
中東諸国は下記の通りイラクを除いて大きな変動はない。
サウジアラビア(4.0%→4.8%)、トルコ(3.5%→3.3%)、UAE(2.6%→3.0%)、イラン(2.1%→2.0%)、イスラエル(4.3%→4.1%)、エジプト(5.7%→5.2%)、イラク(4.4%→10.5%)
(続く)
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