石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

IMF世界経済見通し:不透明感増し再度下方修正された今年と来年の成長率 (上)

2022-08-12 | その他

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0564ImfWeoJuly2022.pdf

 

IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook Update)」を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び主な国々の今年と来年のGDP成長率が開示されている。

 

本稿では今回のレポートによる今年(2022年)及び来年(2022年)の世界、主要経済圏、主要国の成長率を比較し、また前回4月の経済見通しに対してGDP成長率がどのように見直されたかを検討する。さらに2022年1月及び2021年10月のデータも参照し、これら4回のレポートを通じて2022年のGDP成長率がどのように見直されてきたかを精査する。

 

*WEOレポート:

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2022/07/26/world-economic-outlook-update-july-2022

(同日本語版)

https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2022/07/26/world-economic-outlook-update-july-2022

 

(世界の成長率3.2%、ほぼ全ての国で前回、前々回の見通しを下方修正!)

1.2022年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

 今回7月見通しでは今年の世界の成長率は3.2%とされており、前回4月の3.6%から0.4%下方修正されている。これは1月の予測成長率4.4%をさらに下方修正したものであり、半年間で大幅に改訂されている。1月の見直しはコロナ禍の終息がずれ込んだためであり、4月の見直しはロシアのウクライナ侵攻によるものと言えよう。そして今回はウクライナ紛争が長引き、米国、ロシア、欧州、中国の経済に陰りが見え、不透明感が増したことを織り込んだものである。

 

 ロシアを除き主要経済圏或いは各国のGDPはいずれもプラス成長であるが、IMFはコロナ禍と対ロシア経済制裁によるエネルギー価格の上昇が世界経済に及ぼす影響が極めて深刻なものと受け止めており、4月見通しをさらに引き下げている。

 

 経済圏で見るとEU圏の今年の成長率は2.6%であり、4月の2.9%を0.3%引き下げており、対ロシア経済制裁の影響が大きいためと考えられる。一方、ASEAN5カ国は5.3%で据え置いている。

 

 国別では米国2.3%、ドイツ1.2%、日本1.7%、英国3.2%、中国3.3%、インド7.4%、ロシア▲6.0%である。中国は2010年代前半に二桁の高い成長率を続けてきたが、今年は4%未満の成長率にとどまる見通しである。またEU圏でこれまで堅調であったドイツの今年の成長率はEUの平均を下回っている。同国のエネルギーがロシアに大きく依存していることが影を落としている。

 

 一方インドは7.4%の高い成長率が見込まれ、またエネルギー価格の高騰を受けてサウジアラビアも7.6%の高い成長率が見込まれている。これに対してロシアはサウジアラビアに並ぶ石油・天然ガスの生産国であるにもかかわらず▲6.0%のマイナス成長とされている。ウクライナ紛争の長期化による経済の悪化及び欧米諸国による経済制裁が大きく響くものと考えられる。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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石油と中東のニュース(8月12日)

2022-08-12 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格アップ。天然ガスから石油へ切り替えの動きに反応。Brent $99.79, WTI $94.58

(中東関連ニュース)

・パレスチナ自治政府、国連正式メンバー資格の取得目指す

・アフガニスタン:タリバンの聖職者ハッカーニ師、自爆テロで死亡

・イラク:サドル師、来週末までの議会解散を要求

・イラク:ISから奪還したモスル飛行場の再建に着手

・UAE、9月から最新技術のパスポート導入

・トルコ再生エネルギー企業Kalyon株式の1/2をUAEのIHCが買収

・エジプト:タハリール広場の象徴Magamaa、ホテルに改装

・サウジ、観光ビザでのマッカ小巡礼を許可

・サウジで西陣織紹介

 

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エネルギー価格高騰で過去最大級の利益:2022年4-6月期五大国際石油企業決算速報 (3)

2022-08-12 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2022年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2022年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2022年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(原油・天然ガス生産量が見劣りするbp!)

3. bp

プレスリリース:

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/second-quarter-2022-results.html

(1)売上・利益・利益率

 bpの2022年4-6月期は売上高695億ドルであった。損益は93億ドルの黒字で売上高利益率は13%となっている。前期はロシア事業からの撤退で大幅な赤字を余儀なくされたが、今期は他社同様石油価格の上昇と需要回復により業績が回復している。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは109億ドル、投資キャッシュフローは▲25億ドルであり、また財務キャッシュフローは▲92億ドルであった。この結果、6月末のキャッシュフロー残高は331億ドルとなっている。

 bpの4-6月期設備投資は28億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 bpの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油94万B/D、天然ガス20億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は127万B/Dである。

bpの原油・天然ガスの生産量は他社に比べてかなり低いのが特徴である。(詳細はII章で詳説)

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                              Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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