III. 5カ年(2019-2023年) 業績推移の比較(続き)
(コロナ禍で2020年に激しい落ち込み、そして2022年は史上最高の利益!)
2.利益[1]
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-21.pdf 参照)
2019年から2023年までの5年間の5社の利益の推移を見ると、2019年はShellが158億ドル、次いでExxonMobilが143億ドルと続き、bp及びChevronの利益は3社を大幅に下回る40億ドルおよび29億ドルであった。
しかしコロナ禍が本格化した2020年には全社が赤字に転落、特にExxonMobil、Shell、bp3社は▲200億ドルを超す巨額の損失を計上、TotalEnergies、Chevronもそれぞれ▲72億ドル、▲55億ドルの赤字を余儀なくされた。2021年には一転して各社とも業績が急回復しExxonMobilの230億ドルを筆頭に全社が利益を計上、利益額は2019年の水準に戻った。
2022年には前年にも増して利益が急騰、ExxonMobilは史上最高の557億ドルの利益を達成し、その他各社もShell 423億ドル、Chevron 355億ドル、TotalEnergies 205億ドルの利益を確保している。但しbp1社のみはロシアプロジェクトの特別損失により▲25億ドルの欠損であった。2023年は世界経済の減速により業績は再び低下した。しかしExxonMobilの360億ドルをはじめ、各社の利益は軒並み高い水準を維持し、前期赤字であったbpも152億ドルの利益を計上している。
(2020年にマイナスに落ち込んだが過去3年は軒並み高い利益率を確保!)
3.売上高利益率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-22.pdf 参照)
2019年は全社がプラスの利益率であったが、トップのTotalEnergies、ExxonMobilが5%台にとどまり、最も低かったbpは1.4%であった。そして2020年には全社の業績が赤字に転落、損失率もbpの▲19%を筆頭にExxonMobil及びShellが▲12%、Chevron及びTotalEnergiesが▲5%であった。
2021年は各社とも業績がV字型に回復し、Chevronの10.0%を筆頭に、ExxonMobil8.1%、TotalEnergies7.8%、Shell7.7%、bp4.6%といずれもプラスに転じた。2022年は各社の収益格差が拡大し、Chevron、ExxonMobil及びShellは二桁台の利益率を確保している。これに対して、bpは5社の中でただ1社▲1%のマイナスに転落している。
2023年も業績は順調に推移し、Chevron及びExxonMobilは共に10%台の利益率を確保した。他の3社も押しなべて好調でTotalEnergies9.0%、bp7.2%、最も低いShellも6.1%の利益率であった。5年間を通じて見るとChevronが高い利益率を維持しているのに対してbpは5社の中で最低水準にとどまっていることが特徴である。
(続く)
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前田 高行
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[1] 「利益」は各社決算資料から下記項目を抽出している。
ExxonMobil: Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Shell: Incom/loss attributabel to shareholders
bp: Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
TotalEnergies: Netincome (TotalEnergies share)
Chevron: Net income