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(目次)
第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(12)
126イラクのクウェイト進攻と湾岸戦争(3/5)
停戦の翌年イランのホメイニ師が86才で波乱の生涯を終えた。イランはその後ますます国際的孤立を深める。フセインが次に狙ったのは南の隣国クウェイトであり、さらにアラブの覇者となるための絶対条件ともいうべきイスラエル打倒であった。彼はまず手始めにクウェイトを狙った。クウェイトは貸し付けた戦費の返済をしつこく迫っており(クウェイトにすれば当然の要求だったが)、また同時に当時のOPEC(石油輸出国機構)加盟国の中で安値販売の先頭を切っていた。戦災復興を急ぐためできるだけ高値で原油を販売したいイラクにとってクウェイトは目障りな存在であった。フセインは兵力をクウェイト国境に集結し圧力をかけた。
しかし当のクウェイトを始め国際社会はこれを単なる脅しとみなし、フセインがまさかクウェイトに進攻するなどとは考えていなかった。アラブ連盟の緊急会議が開かれたとき、弁明に立ったイラク外相は極めて穏やな話しぶりであったと言われる。アラブ諸国は話し合いで事態が解決すると信じた。さらに当時の米国大使もフセイン大統領と面談したが、大統領の物腰は極めて紳士的であったため、大使はイラクに戦争の意思なし、と本国に誤ったシグナルを送った。
(続く)
荒葉 一也
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