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(アラビア語版)
(目次)
第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(11)
125イラクのクウェイト進攻と湾岸戦争(2/5)
対外的にもイラクはクウェイトやサウジアラビアに多額の負債を抱え財政破たんの状態であったが、フセインは両国からの借金返済要求も無視した。彼に言わせれば、今回の戦争はスンニ派を代表してシーア派のイランと戦ったのであり、イラクは兵力を供出し、スンニ派産油国が戦費を負担するのは当然である、ということになる。
過去の歴史を見ても戦争に費やした金は常に戦勝国が敗戦国から搾り取るものであって同盟国が他の同盟国に戦費の返還を求めた例は無い。それが国際外交で通用しなくなったのは第二次世界大戦後、豊かで鷹揚な米国が敗戦国を搾取することを禁じたからである。そこには第一次世界大戦で戦勝国フランスが敗戦国ドイツを搾り取り、その結果がナチスの台頭を許し第二次世界大戦につながったという苦い経験もあった。フセインの言い分は無茶苦茶なものではあるが、それなりの理屈が無くはない。「盗人にも三分の理」とでも言うべきであろうか。
(続く)
荒葉 一也
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