(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(20)
134歴史に取り残されるパレスチナ問題(2/4)
激動する世界及び中東の歴史の中でパレスチナ問題は次第に影が薄くなっていった。第二次大戦後久しく中東問題と言えばパレスチナ問題であったが、アラブの盟主エジプトが1979年にイスラエルと単独和平を結んだことで問題に対する関心が急速に薄れた。ヨーロッパ諸国はサダトとベギンにノーベル平和賞を与えることでこの問題が永久に解決されたかのごとき幻想をふりまいた。しかしこれでユダヤ人によるパレスチナの土地の占領という問題そのものが解決されたわけではなかった。
そもそもパレスチナの土地をユダヤ人に与えるというバルフォア宣言は、第一次大戦の勝利を金銭面で支援したユダヤ人に対する報酬であり、また歴史的なユダヤ人抑圧に対するヨーロッパ人の贖罪であった。と同時にバルフォア宣言はこれからもヨーロッパ白人社会を脅かしかねないユダヤ人を遠いパレスチナに厄介払いするというまさに一石三鳥の妙案だったのである。
(続く)
荒葉 一也
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