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II. 天然ガス
3.天然ガスの輸出入
(2)2014年~2023年LNG輸出入量
(対ロ経済制裁で急増した西欧のLNG輸入量!)
過去10年間のLNG輸入量の推移を見ると、世界全体では 2014年の3,336億㎥から2023年には1.6倍の5,487億㎥に増加している。日本は2020年まで輸入量世界一であり、2014年は1,218億㎥のLNGを輸入した。これは原発の運転停止のため火力発電用LNGの輸入が急増したことが主な要因である。しかしそれ以降はほぼ一貫して前年を下回っており、2022年には1千億㎥を切り、2023年は903億㎥、2014年の7割にとどまっている。
一方、中国は毎年著しく増加しており、2014年の273億㎥が2023年には978億㎥に達し、10年間で3.6倍に増加、日本を抜いて世界一のLNG輸入国になっている。日本、中国に次いで輸入量が多いのは韓国であり、日中韓3か国の全世界に占める割合は2014年は60%であった。その後インド、西欧各国の輸入が伸び3か国のシェアは落ちているが、それでも2023年の世界シェアは45%を占めている。
国別輸入量の推移で特に注目されるのは、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国の輸入が急増していることである。2014年のフランスのLNG輸入量は69億㎥で日本の20分の1に過ぎなかったが、2023年は4.4倍の307億㎥、インドに次いで世界第5位のLNG輸入国に変身している。イタリアも同様2014年の45億㎥から2023年には3.6倍の163億㎥に増加している。増加は2022年以降に特に顕著であり、これはウクライナ戦争にからみロシアからのパイプラインによる天然ガス輸入がストップしたためである。
最近では地球温暖化問題が重視され、石油・石炭より二酸化炭素排出量が少ない天然ガスの需要が増加したため、世界全体にLNGの輸入が増加している。10年間で1.6倍、年平均5.8%の増加率を示している。そのような中で日本だけは10年前の7割に減少し、年率で▲3.2%減少しているのは特異なことである。
(続く)
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