石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

EI世界エネルギー統計(旧BP統計)2024年版解説シリーズ(10)天然ガス7

2024-07-28 | EIエネルギー統計

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0608EiWorldEnergy2024.pdf

 

II. 天然ガス

3.天然ガスの輸出入

(2)2014年~2023年LNG輸出入量(続き)

(米国がLNG輸出世界一に!)

b. 輸出量(表http://bpdatabase.maeda1.jp/5-G02b.pdf参照)

2014年に3,336億㎥であったLNGの輸出量は、2017年以降増勢に転じ、2018年には4,300億㎥に達し、2021年に5千億㎥を突破、2023年の全世界の輸出量は5,492億㎥、2014年の1.6倍を記録している。

 

国別で見ると2014年当時はカタールの輸出量が1,036億㎥で、世界で唯一1千億㎥を超え、全世界の3分の1を占めていた。カタールに次ぐのがマレーシア(340億㎥)であり、第3位はオーストラリア(320億㎥)であった。

 

カタールは過去10年以上にわたり設備増強を凍結(モラトリアム)したため輸出量はほとんど増加していない。これに対してオーストラリアと米国は輸出が急増した。オーストラリアは2019年に1千億㎥の輸出体制を整え、2023年の輸出量は1,074億㎥に達し2位のカタールを急追している。オーストラリアをしのぐ勢いでLNG輸出トップに躍り出たのが米国である。2014年に4億㎥に過ぎなかった米国のLNG輸出量はシェールガスの開発が急速に発展し、2017年以降LNG輸出は急増した。2019年には500億㎥、2022年には1千億㎥を突破、2023年には遂に世界一のLNG輸出国になっている。2014年に比べると実に270倍に増加しているのである。

 

この結果、国別輸出シェアにも大きな変化が見られる。すなわちカタールは2014年の31%をピークに毎年シェアは下降し、2023は19.7%にとどまっている。一方米国は10年前の0.1%から2023年には世界シェア20.8%を達成、オーストラリアも2013年の10%から2023年にはカタールと並ぶ19.6%までシェアがアップしている。

 

米国、カタール、オーストラリアに次ぐLNG輸出大国のロシアは2013年に136億㎥を輸出、2023年には427億㎥を輸出している。ロシアはウクライナ紛争による欧米の経済制裁のため世界シェアが伸び悩んでいる。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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