1.世界の石油・天然ガスの生産量(続き)
(1-3) 主要国の2013~2022年の生産量推移(続き)
(トップを独走する米国!)
(1-3-2)天然ガス (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-G03b.pdf参照)
2013年から2022年までの天然ガス生産量の推移について、ここでは2022年世界1位、2位、3位の米国、ロシア及びイランに加え、同6位カタール、7位オーストラリアの5カ国の動きを見る。
2013年の米国とロシアの天然ガス生産量はそれぞれ6,557億㎥及び6,145億㎥であり米国がロシアをわずかに上回っていた。しかし米国では前項に触れたシェール石油と同様商業ベースのシェールガス開発が軌道に乗り、生産量が急増、生産が低迷するロシアをしり目に2015年には米国の生産量7,400億㎥に達したのに対して、ロシアの生産量は5,800億㎥にとどまった。2017年以降、米国の生産がさらに加速する中で、ロシアも2021年の生産量が7千億㎥を超えたが、2022年にはウクライナ紛争による西欧諸国の輸入制限によりロシアの天然ガス生産量は急減した。同年の生産量は米国が9,786億㎥と1兆億㎥に近づいたのに対し、ロシアの生産量は10年前とほぼ同じ6,184億㎥にとどまっている。
カタールとイランの生産量は2015年までほとんど同じであった。LNG輸出中心のカタールは2010年までにLNG年産7,700万トン体制を整え、長期契約により世界のLNG市場をリードしているが、供給過剰を回避するため新規設備投資を凍結する「モラトリアム体制」を取った。このため2010年代を通じて生産量はほとんど増えていない。これに対して1億人近い人口を抱えるイランは国内のエネルギー消費を賄うため天然ガスの生産を高めた。この結果2022年の生産量はイランの2,600億㎥に対しカタールは1,800億㎥となり、2013年に比べるとイランは1.7倍増加したのに対し、カタールは1.1倍の増加にとどまっている。
カタールの生産量が停滞している間に意欲的な増産に取り組んだのがオーストラリアである。同国の2013年の生産量は600億㎥でありカタールの4割にとどまっていたが、2022年には1,500億㎥に拡大しカタールに迫っている。
(注、現在、カタールは「設備増強モラトリアム宣言」を撤回し、年産1億2千万トンを目指して設備の増強に着手、LNG輸出市場での主導権を回復しようとしている。)
(続く)
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