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(アラビア語版)
(目次)
第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(16)
130うっぷん晴らしとしっぺ返しの悲劇(2/4)
それこそフセインの思う壺だった。イスラエルが参戦すれば過去の4度にわたる中東戦争の図式が再現され、イラクの一方的な侵略戦争はアラブ・イスラーム対ユダヤという民族戦争に一変する。この戦争でサウジアラビアは米国など西欧キリスト教諸国を中心とする多国籍軍に駐留を認めており国内外のイスラーム宗教勢力から批判を受けていた。もしイスラエルが参戦すればサウジアラビアを含むアラブ諸国は苦しい立場に立たされることになるのであった。
米国は必死になってイスラエルを説得し反撃を思いとどまらせた。もし(歴史に「もし」は禁句であるが)イスラエルが参戦していればフセイン政権は間違いなく倒れていたであろう。敵の息の根を止めるまで戦いを止めないのがイスラエルの戦略である。その結果中東は大混乱に陥ることも間違いない。しかし当時の米国はサウジアラビアなどの湾岸アラブ産油国を自陣営に引き留めておく必要があった。イランに加えてアラブ諸国まで敵に回すのは何としても避けたかった。
(続く)
荒葉 一也
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