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エピローグ(4)
192 東と東の遭遇(4/4)
パレスチナからヨルダンさらに湾岸諸国へと東に移動したシャティーラは今度は一足飛びに西半球の米国に移住したのであった。彼はそこで豊かとは言えないが、平和な生活を手に入れた。キリスト教国の米国でイスラーム教徒が生活することは決して楽なことではなかったが、米国はやはり平和と安全に守られた世界一の国であった。
米国とヨルダンの間で手紙と電話が頻繁に交換された。遠く離れたヨルダンに住む両親やかつての同僚とはこれから先、顔を合わせることができるかどうかはわからない。それでも彼らの「血」の絆がゆらぐことはない。父親からの手紙でかつての隣人アル・ヤーシン家の娘ラニアがカイロ留学から戻り、ジャーナリストとして活躍している時、ハシミテ王家の皇太子に求婚され現代のシンデレラになったと知らされた。パレスチナ人の血とイスラームの始祖ムハンマドに連なる由緒ある家系ハシミテ家の血が一緒になったのである。それは新しい時代を予感させる出来事であった。
(続く)
荒葉 一也
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