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第6章:現代イスラームテロの系譜(16)
161 悪の枢軸イラクとの戦争(2003年)(4/4)
兵士を鼓舞するこのようなスローガンが無くても圧倒的な物量を誇る有志連合の前にイラク軍は衆寡敵せず、である。戦闘は早々と決着がつき、ブッシュ大統領は2か月後にはペルシャ(アラビア)湾に浮かぶ原子力空母「アブラハム・リンカーン」の艦上で「大規模戦闘終結宣言」を行ったのである。
しかしよく知られているとおり戦争後の調査でイラクに大量破壊兵器など存在しなかったことがわかり、イラク戦争の開戦理由が否定された。さらにフセインをとらえ死刑に処した後もイラクの治安は回復するどころかむしろ宗派対立、部族対立が表面化し治安の悪化が常態化した。ようやく2011年にオバマ大統領によりイラク戦争終結宣言が出て米軍は全面撤退したのである。しかし本当のところは戦争が終結したから軍が撤退したのではなく、軍を全面撤退させるために戦争の終結を宣言したという方が正しいのであろう。
米軍の撤退を見計らったかのようにシリアからイラク北部にかけて「IS (イスラム国)」が侵入して来るのである。
(続く)
荒葉 一也
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