石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

三大国際石油企業2010年度業績速報シリーズ(7)

2011-02-18 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0173SuperMajors2010.pdf

 

 IV.三大国際石油企業の業績比較(上)

 シリーズI、II、IIIでExxonMobil、Shell及びBP(いわゆるスーパーメジャー)各社の業績を概観したが、シリーズIVはこれら3社を横並びで比較してみた。(2006~2010年各社業績比較一覧表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-93ExxonShellBp06-10.pdf 参照)

1.2010年の売上・利益・設備投資の比較
(1)売上高
 (図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93fSuperMajorSales2010.pdf 参照)
 売上高が最も大きいのはExxonMobilの3,832億ドルであり、次いでシェルが3,681億ドル、最も少ないのはBPの2,971億ドルである。BPの売上はExxonMobilの8割弱である。

(2)利益
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93gSuperMajorProfit2010.pdf参照)
 利益が最も多いのもExxonMobilであり、同社の2010年1-12月の利益は305億ドルであった。これに次ぐのがShellの201億ドルである。BPはメキシコ湾原油漏出事故の影響を受け37億ドルの赤字を計上した(Part III BPの業績参照)。この結果、売上高利益率はExxonMobil 7.9%、Shell 5.5%に対しBPは-1.3%であった。

(3)設備投資
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93gSuperMajorProfit2010.pdf参照)
 3社の設備投資額はExxonMobilが322億ドルと最も多く、次いでShellが269億ドル、BPは230億ドルで最も少ない。なお3社とも当期利益額を上回る設備投資を行っている。

2. 2010年の石油・天然ガス生産量の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-93ExxonShellBp06-10.pdf 参照)
(1)石油
3社の中で2009年度の石油生産量が最も多かったのはExxonMobilで平均日産量は2,422千B/Dであった。BPはExxonMobilよりわずかに少ない2,374千B/D、シェルは3社の中で最も少ない1,705千B/Dであり、ExxonMobil、BPの7割程度にとどまっている。同社は石油生産部門が他の2社に比べてかなり劣っていると言える。同社の決算資料にはLNGの販売量として1,676万トン(年間)が示されており、このためShellの売上はBPを上回る結果(上記参照)となっているようである。(BP、ExxonMobilもLNGを取り扱っていると考えられるが、具体的な数値がホームページの決算概要に示されていないのでLNGに関して3社を比較することはできない。)

(2) 天然ガス
 3社の天然ガス生産量はExxonMobilが121億立法フィート/日(以下cfd)、Shell 93億cfd、BP 84億cfdであった。ExxonMobil及びShellの二社は天然ガスの生産増に力を入れており、ExxonMobilの場合、対前年(2009年)増加率は石油の1.5%に対し天然ガスは31%と大幅に伸びている。またShellの場合もそれぞれの増加率は1.7%と9.7%と天然ガスの生産の伸びが著しい。なおBPはメキシコ湾事故補償対策として一部鉱区を売却した結果、石油・天然ガスの生産はいずれも前年を下回っているが、生産の減少率は石油の-6.4%に対し、天然ガスは-1.0%にとどまっており、同社も天然ガス重視の方針は他の二社と変わらないようである。

(3) 石油・天然ガスの合計生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93hSuperMajorProduction2010.pdf参照)
  上記(2)の天然ガス生産量を石油に換算し、(1)の石油と合計した生産量で比較すると、合計生産量が最も多いのはExxonMobilの4,447千B/Dであり、これに次ぐのがBP(3,822千B/D)であった。これに対しShellは3,314千B/DでExxonMobilの4分の3、BPより10%以上少ない。
 因みにBP統計(BP Statistical Review of World Energy 2010)による2009年の国別生産量(http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-1-91OandGProdByCountry.xps 参照)とこれら3社を比較すると、ExxonMobilは世界第7位のノルウェー(合計生産量4,125千B/D)よりも多く、BP
は世界9位のUAE、またShellは10位のアルジェリアよりも多い生産量を誇っている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月17日)

2011-02-17 | 今日のニュース

・上昇続ける石油価格:WTI 85ドル、Brent 104ドル

・来週リヤドで国際石油フォーラム開催。OPEC各国石油相の多くは欠席。GCC石油相のみで意見交換か:OPEC事務局

・アブダビIPIC、スペインCepsa社の株を仏Totalから買収。完全子会社化で上場廃止

 

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月15日)

2011-02-15 | 今日のニュース

・中東政治不安と中国の輸入増でBrent原油上昇、103ドルに近づく。

 

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三大国際石油企業2010年度業績速報シリーズ(6)

2011-02-15 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0172Bp2010.pdf

 

III.BPの業績(下)
 
2.2006~2010年の業績推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93eBp.pdf参照)
2006年から2010年までの過去5年間のBPの売上、利益、設備投資及び生産量は以下の通りであった。

(1) 売上高
 2006年に2,659億ドルであったBPの売上は2007年に2,844億ドル、2008年3,611億ドルと急激にアップしたが、2009年は一転して前年比34%減の2,393億ドルに急減、2010年は2,971億ドルに回復している。
 売上高の振幅が大きい理由は石油価格の急騰と急落によるものであり、生産量は過去5年間さほど大きな増減は無かった。これはExxonMobil及びShellと同じである。売上と生産量の増減に相関関係が無いことは、2006年から2008年までは生産量が減少または停滞しているにもかかわらず売上高が毎年増加していることからも解り、また2010年も対前年比で生産量が4.4%減少したが(400万B/D→382万B/D)、売上は逆に24%アップしている事実に現れている。つまり過去5年間は売上高と生産量が全く逆の動きをしているのである。

(2) 利益
BPの利益は2006年から2008年までは210~220億ドルのほぼ横ばい状況である。これはこの間ExxonMobil及びShellが売上の増加につれて利益も急増していることに比べて対照的である。同社の利益率は2006年の8.3%から7.3%(2007年)、5.9%(2008年)と年々低下したのである。但し2009年は売上高の急減にもかかわらず、利益率は平年並みの7%を維持している。しかし2010年は冒頭に触れた通りメキシコ湾事故の影響により一転して37億ドルの赤字となった。

(3) 設備投資額
 2006年、2007年の設備投資額はそれぞれ172億ドル及び206億ドルであったが、2008年には急激にふくらみ同期の利益額を大幅に上回る307億ドルに達した。2009年の投資額はそれまでの3年間に比べ最も低い水準であったが(203億ドル)、それでも同年の利益額を上回っている。2010年は過去最大級の損失を計上したが、投資額230億ドルであり、過去5年間では2008年に次ぐ2番目に多い額であった。

(4) 生産量(石油及び天然ガスの合計生産量)
 2006年に393万B/Dであった生産量は2007年に382万B/Dまで減少したが、その後は回復基調となり2008年は微増の384万B/D、2009年には2006年の水準を上回る400万B/Dに達した。2010年は2007年と同じ水準に落ちている。
冒頭に触れた通りBPは事故補償費用捻出のため鉱区資産の売却を進めている。一方で同社はロシア石油企業と北極海大水深の開発に乗り出そうとしているが、仮にこのプロジェクトが成功しても生産に寄与するのは当分先のことである。同社の石油・ガスの生産量は当面現状維持若しくは減少しExxonMobil、Shellとの格差が広がるものと考えられる。

(BP編 完)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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三大国際石油企業2010年度業績速報シリーズ(5)

2011-02-14 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0172Bp2010.pdf

 

III.BPの業績(上)

(注)詳細は下記同社HP参照。
http://www.bp.com/extendedgenericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7066774
 
1.2010年の売上・利益・投資及び生産量
(1)はじめに
昨年のBPの業績はメキシコ湾における原油漏出事故が大きく影を落とした。4月20日MC252号試掘井の暴墳事故による原油の漏出は5ヶ月後に漸く止まったが、その間メキシコ湾に流出した原油は一説には490万バレルとされ、これは日本の1日の消費量に匹敵するものであった。
 漂着原油の処理費用、漁業補償など外部に対する支払いはもとより、暴墳を止めるための救助井掘削など内部費用を含めBPには巨額の経費が発生した。このため7月27日の第2四半期決算は172億ドルの赤字という史上最悪の結果となった(詳しくは10月14日付け弊レポート「これからが正念場のBP」http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0157BpCrisis.pdf 参照)。
 以下に概略するとおり今回発表された通年業績ではメキシコ湾原油流出関連費用(Gulf of Mexico oil spill response)として409億ドルが計上されており、税引前利益は55億ドルの赤字決算となった。ExxonMobilあるいはShellが好調な決算を発表したことに比べ(シリーズI, II参照)、今回の事故によりBPの受けた痛手は計り知れないものがある。
 現在BPは事故に関する数多くの訴訟を抱えており補償総額が最終的にどの程度の規模になるかは全く予測がつかず、当分BPの業績に暗い影を落とすことは間違いないであろう。またBPは補償費用を捻出するため一部油田・ガス田の資産売却を進めており、これによって今後同社の石油・ガスの生産量が減少することは避けられない。今回の決算はBPの長期低迷の予兆と言えるかもしれない。

(2)売上高
 売上高は297,107百万ドルであり、前年度の売上239,272百万ドルに対し24.2%の増収であった。これは石油価格が上昇したためであり、ExxonMobil及びShellも同様である。生産量については(5)に述べる通りBPの場合は前年(2009年)を下回っているのに対し、他の二社はいずれも生産量が前年を上回っている。このためBPの増収要因は石油価格の上昇のみによるものと言える。

(3)利益・損失
 BPの2010年1-12月の損益は3,719百万ドルの損失であった。前年度を含め過去4年間がいずれも200億ドル前後の利益だったことに対し、BPは創業以来初めてとも言える大幅な損失を余儀なくされた。これは言うまでも無くメキシコ湾の原油漏出事故によるものである。
 この特別損失を除けば、同社の上流部門及び下流部門はそれぞれ309億ドル、56億ドルの利益を計上しており、これはExxonMobilのそれより高く、Shellをはるかにしのぐ水準である。売上が3社の中で最も少ないことを考慮すると、事故が無ければBPの売上高利益率は3社中最も高かったであろうと考えられる。

(4)設備投資
 2010年度の設備投資総額は23,016百万ドルであった。投資を上流部門、下流部門およびその他部門に分けると、上流部門には全体の77%を占める17,753百万ドルが配分されている。下流部門は4,029百万ドル(全体の18%)であり、その他部門は1,234百万ドル(同5%)であった。

(5)石油・天然ガスの生産量
 2010年の生産量は石油が一日当たり平均237万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産84億立法フィート(以下億cfd)である。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は382万B/Dに達する。
 石油生産量を地域別にみると、最も多いのはロシアの86万B/Dであり、続いて米国が59万B/D、欧州18万B/Dである。BPは石油生産の4割近くをロシアに依存しておりExxonMobil, Shellに見られない特色である。一方天然ガスについては米国が全体の3割弱を占める22億cfdと最も多い。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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三大国際石油企業2010年度業績速報シリーズ(4)

2011-02-12 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/ExxonShellBp.html

 

II.Shellの業績(下)
 
2.2006~2010年の業績推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93cShell.pdf参照)
2006年から2010年までの過去5年間の売上、利益、設備投資及び生産量は以下の通りであった。

(1) 売上高
 2006年に3,188億ドルであったShellの売上は2007年3,558億ドル、2008年4,584億ドルと急激にアップした。しかし2009年は一転して前年比39%減の2,782億ドルに急減し、2010年は3,681億ドルとなり2007年の水準に戻している。
 この5年間の売上の増減の最大の理由は、石油価格の急騰と急落によるものである。そのことは後述する生産量の変化を見ればよくわかる。すなわち2006年から2009年まで生産量は毎年減少しているにもかかわらず2006年から2008年までは売上高が増加している。この間の売上増が石油価格の急騰によるものであることがわかる。そして2009年は原油の年間平均価格が前年より大幅に下落し、さらに生産量も減少したため、売上高が急落し、また2010年の生産量は2008年を上回っているにもかかわらず売上高は同年を下回っている。

(2) 利益
Shellの利益は2006年の254億ドルから2007年には313億ドルまで増加したが、2008年は263億ドルにとどまり、2009年は急激に悪化して前年の1/2以下の125億ドルとなった。2010年の利益は200億ドル台を回復したものの、5年間を通して見ると2009年に次いで過去4番目に悪い結果となっている。
売上高利益率については2006, 2007年は8%を超える水準であったが、最近三年間は5.7%(08年)、4.5%(09年)、5.5%(10年)と5%前後にとどまっており、ExxonMobilに比べて見劣りがする。

(3) 設備投資額
 2006年、2007年の設備投資額はそれぞれ229億ドル及び246億ドルであったが、2008年には急激にふくらみ同期の利益額を大幅に上回る351億ドルに達した。2009年、2010年はそれぞれ265億ドル、269億ドルである。この2年間は利益水準が06年、07年を下回っているが(上記参照)、両年とも利益額を上回る投資を行っている(特に08年の投資額は利益の2倍以上である)。
 なお設備投資に占める上流部門の比率は5年間を通じ8割前後の高い比率であり、Shell社はExxonMobil同様継続的な探鉱開発の投資を行っていることがわかる(ExxonMobilの項参照)。

(4) 生産量(石油及び天然ガスの合計生産量)
Shellの2006年の石油と天然ガスの合計生産量(boed)は347万B/Dであった。生産量はその後年々減少し、2007年には332万B/D、2008年325万B/D、2009年315万B/Dまで低下した。生産量が低落したのは2007年のサブプライムショック以降、世界景気が急速に冷え込み、その結果石油製品の販売量が減少したことが最大の理由である。
 しかし三大石油会社の中でExxonMobil及びBPは2009年の生産量が前年の2008年の横ばいもしくは若干上向いているにもかかわらず、Shell社は生産量が4年連続で減少している。この傾向は2010年に至り漸く歯止めがかかっており、これは市況環境が回復したことに加え同社がこれまで業績悪化にもかかわらず上流部門に多額の投資を維持してきた(上記参照)成果が現れた結果と考えることができる。

(Shell編 完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月11日)

2011-02-12 | 今日のニュース

・エジプト大統領退陣でNY原油85.1ドルに下落。Brentは101ドルを維持、値差15ドルに広がる。

 

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今週の各社プレスリリースから(2/6-2/12)

2011-02-12 | 今週のエネルギー関連新聞発表
2/7 JXホールディングス    米国メキシコ湾 超深部における天然ガス層の確認について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/2010/20110207_01_0950261.html
2/7 国際石油開発帝石    アメリカ合衆国メキシコ湾ウォーカー・リッジ95/96/139/140鉱区権益の取得について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2011/20110207.pdf
2/9 AOCホールディングス    アラビア石油のノルウェー領北海イメ油田生産開始時期について http://www.aochd.co.jp/ir/pdf/110209_jigyo.pdf
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三大国際石油企業2010年度業績速報シリーズ(3)

2011-02-11 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/ExxonShellBp.html

 

II.Shellの業績(上)

(注)詳細は下記同社HP参照。
http://www.shell.com/home/content/media/news_and_media_releases/2011/q4_2010_results_newsitem_03022011.html 
 
1.2010年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
 Shellの2010年1-12月の売上高は368,056百万ドルであり、前年度の売上278,188百万ドルに比べ32%の増収であった。これはExxonMobilと同様(シリーズI参照)、2009年が対前年比で大幅に落ち込んだことに対する反動である。後述するように2010年の売上は2008年の458,361百万ドルには及ばないものの、2007年(355,782百万ドル)を上回る水準に回復した。

(2)利益(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93dShell.pdf参照)
 利益は20,127百万ドル(円換算約1.6兆円)であった。これはExxonMobil(30,460百万ドル)には及ばないものの、前年度(12,518百万ドル)の1.6倍増で、その増益率はExxonMobil と同じである。
利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売)に分け、さらに上流部門を米国内と米国外に分けて比較すると、最も利益が多かったのは米国外の上流部門であり、全体の利益の68%(12,489百万ドル)を稼ぎ出している。これに対し米国内の上流部門の利益額は全体の11%、1,953百万ドルであった。これらを合計すると上流部門が同社利益の8割弱を占めている。これに対し下流部門は全体の利益の21%、3,873百万ドルであった。Shellが利益の大半を上流部門に依存していることはExxonMobilと同じであるが、Shellの場合は米国外の上流部門の比率が高い。

(3)設備投資
 2010年度の設備投資総額は26,940百万ドルであり、その額は利益額の1.3倍強に達する。投資を上流部門、下流部門およびその他部門に分けると、上流部門には全体の83%を占める22,323百万ドルが配分されている。下流部門は4,523百万ドル(全体の17%)である。

(4)石油・天然ガスの生産量
 2010年の生産量は石油が一日当たり平均171万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産93億立法フィート(以下億cfd)であった。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は331万B/Dに達する。ShellではこのほかLNGを1,676万トン(年間)販売している。
 石油生産量を地域別にみると、最も多いのは中東・北アフリカの366千B/D(全体の21%)であり、次いでアフリカ(ナイジェリアを含むサブサハラ)346千B/D(同20%)、欧州285千B/D(同17%)、米国237千B/D(同14%)である。ExxonMobilの場合はアフリカとアジア大洋州で全生産量の過半を占めているのに対し、Shellの原油生産は世界に万遍なく拡がっている。
一方天然ガスについては欧州が38億cfdと全体の4割に達する。これに次ぐのがアジア・大洋州(25億cfd)であり、この両地域で全生産量の7割弱を占めている。

(続く)

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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(2月11日)

2011-02-11 | 今日のニュース

・OPEC、1月生産量は2008年12月以来最高の2,972万B/D。イラク、サウジ等が増産:OPEC月例レポート

 

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