石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇4 生産量(1)

2012-08-20 | その他

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0236BpOil+Gas2012.pdf

 

 BPの「BP Statistical Report of World Energy 2012」をもとに本シリーズで石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル=629万バレル(1兆立方メートル=62.9億バレル)である。

2.世界の石油と天然ガスの生産量
(中東は石油が天然ガスの5倍、欧州・ユーラシアは同量!)
(1)2011年の石油と天然ガスの地域別合計生産量
 2011年の世界の石油生産量は日量8,358万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの生産量は年間3兆2,762億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの生産量を石油に換算すると5,646万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの生産量は1億4,003万B/Dとなる。両者の比率は石油60%、天然ガス40%である。

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/3-2-G01.pdf 参照)
 生産量を地域別に見ると、中東が3,676万B/Dと最も多く、欧州・ユーラシアがこれに次ぐ3,517万B/Dで、両者で世界の生産量の半分を占めている。但し両地域を比較すると、中東は石油2,769万B/D、天然ガス5,261億㎥(石油換算:907万B/D)と、石油の生産量が圧倒的に多い一方、欧州・ユーラシアは石油生産量は1,731万B/Dであり天然ガスの生産量1兆364億㎥(石油換算:1,786万B/D)とほぼ同じである。

 欧州・ユーラシア、中東に続いて生産量の多いのは北米である。北米は欧州・ユーラシアと同様石油と天然ガスの比率がほぼ同じであり(石油生産量1,430万B/D、天然ガス生産量8,642億㎥、石油換算1,489万B/D)合計2,919万B/Dに達している。

 残るアジア・大洋州、アフリカ及び中南米の3地域の生産量は上記3地域の半分もしくはそれ以下である。このうちアジア・大洋州(石油換算合計生産量:1,634万B/D)は石油と天然ガスの比率がほぼおなじであるが、アフリカ(同1,230万B/D)と中南米(同1,027万B/D)は中東と同じく石油生産が大半を占めており天然ガスの比率が小さい。

 前回の埋蔵量で触れたとおり世界の石油と天然ガスの埋蔵量はほぼ等しく、石油埋蔵量は1兆6,526億バレル、天然ガスの埋蔵量は石油換算で1兆3,111億バレルである。このことから欧州・ユーラシア、北米及びアジア・大洋州では埋蔵量に見合った石油と天然ガスが生産されているのに対し、その他の3地域(中東、アフリカ及び中南米)では今後さらに天然ガスの開発生産に拍車がかかることが考えられる。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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